日曜日、所用で東京に出かけることになっていた家人は、
前日からそのための準備をしていた。
当日も、
朝早くから起き出し、入念に用意を整え、さあ、いざ出陣となったはいいが、
ぽつり「行きたくない」
さらに「行きたくない」
よほど行きたくないらしい。
ちょうどこのとき、
すでにわたしは、
朝のルーティーンと化している面倒この上ないサイフォンによるコーヒーを淹れており、
彼女のテーブルの上にも熱いコーヒーを入れたカップが載っていた。
うす暗い部屋にコーヒーの白い湯気が立ち上っている。
やおら一口、ふぅ~、
また一口。
と、
「あ、気分変った」
なお、もう一口。
そののち、
しばしの間があり。
やがて「行ってくるか。よし。行ってきます」
・ひかり浴びひかり放つや枯葉散る 野衾