お願い一つ

 

・鶯や声のみすれど姿無しホーホケホケ

匂いに過敏になっているせいか、
女性の髪の匂いにウッとなることしばし。
それが度重なると、
香料は石油から精製される
と聞いたことがあるし、
髪に石油をスプレーしている図が浮かんでき、
立ちすくみます。
世の女性のみなさん、
無香料のシャンプーとリンスにしていただけないでしょうか。

・鶯の鳴く音ゆかしき山の朝  野衾

生きる力

 

・あと五分あと一分の朝寝かな

突風が日本列島を襲い、
秋田の実家では、
稲の種を蒔いたハウスのビニールがのきなみ剝がされ。
八十五歳の父は、
朝の三時から一睡もせず、
復旧作業に取り掛かり、
七時を過ぎてもまだ終わらない…
と、
電話口の母から聞かされた。
「生きる力をなくしてしまうよ」
父がそうぼやいたと。
近くに九つ下の弟(わたしの叔父)がいてくれるおかげで、
どんなに父の力になっていることか。
助けるの意の「助」は、
且(ショ)が積み重ねることを、
力が加えられることで、
上に力を重ねてたすけることを表す。

・朝寝してけふの予定を反芻す  野衾

コナン映画

 

・とくべつのこともなき日の朝寝かな

一年に一度のお楽しみコナン映画、
ことしのタイトルは、
『から紅の恋歌(ラブレター)』
ちっちゃいころから知っている近所のりなちゃんが
大のつくコナンファンで、
毎年この時期に公開される新作に合わせ、
いっしょに映画を観、
それから馬車道にある勝烈庵で食事をする
のが恒例になっています。
りなちゃんは今年から高校生、
友だちもいるのに、
初めに見に行くのはみうらちゃん(=わたし)
と決めているようで、
まことにありがたく泣けてくる。
ウッウッ。
映画そのものより、
身を乗り出して映画をこころから楽しんでいる
りなちゃんを隣に感じるのがうれしく、
ありがたいことよ、
と、
そう思いつつ観ているうちに、
だんだんと
映画にのめりこみ、
ドキドキしたり、
目頭を熱くするのもいつもながら…。
映画が終われば勝烈庵。
盛り合わせ定食が定番なり。
ごはんをお代わりするりなちゃんを見、
たくましくなったなあと、
目を細めるわたしは、
さしずめ孫を愛する爺か。
とにもかくにも、
うれしくありがたい一日でした。
また来年のお楽しみ。

・朝寝して気がかりありてまた朝寝  野衾

さくら

 

・花万朶本を読みたき心地せり

そろそろ散りかけてはいるものの、
ついつい立ち止まってしまいます。
桜木町にある本町小学校前のさくらがきれいで、
朝そこを通るのも楽しみ。
昼、
野毛で食事をした後、
ふらふらっと、
また小学校の前を通っていました。
さくらに引き寄せられたか。
通りがかりの女性が
スマホをかざしてさくらの写真を撮っていました。
ひかりをたたえながら
ゆっくりゆっくり散るさくらの
なんときれいなこと。
宝石も敵いません。

・花万朶すぐ先左折ラブホ在り  野衾

 

・玻璃のごと煌めく薄き桜かな

つねこせんせい。
したしくそう呼んでいました。
中学校の音楽の先生で、
ブラスバンド部の顧問をしておられました
(わたしの担当はユーフォニアム)
が、
まるで親のように、
いや、
親には決して相談しないようなことまで打ち明け、
先生も
親身になって耳を傾けてくれ、
だけでなく、
倉田百三や岡潔の本を貸してくださいました。
高校に入学したとき、
パーカーの万年筆をいただきました。
高校三年間、
朝、
最寄りの駅へ急ぐわたしを、
一日も欠かさず見送ってくれました。
ジョン・レノンのイマジンの譜面を見つけ、
先生に持って行き、
ピアノで弾いてもらったこともあったっけ。
「いい曲ね…」
ときどき会社で聴いています。
先生から最後にいただいた葉書は、
いまも大切にとってあります。

・紫の野草ゆかしき春日かな  野衾

 

・東海道車窓さくらの演舞場

温美ちゃんどうしているかな。
はるみちゃん。
温かく美しく…。
小学一年生から六年生までいっしょでした。
六年生の時は席がとなり同士。
小武海先生のはからいで。
それはさておき、
いやぁ、
やっと温かくなりました。
きょうの横浜は予想最高気温19度。
ありがたし!
そうこなくっちゃ。
会社のパソコン総とっかえも済んだことだし。
仕事バリバリやるぞー!!
てか。

・真砂路の伸びゆく先や青き島  野衾

幻想

 

・ラマ僧の足跡深し春の浜

家のことで朝、法務局に出向いたら、
わたしが住まいする保土ヶ谷区の管轄は本局ではなく、
神奈川出張所に出向かなければならない
と告げられ、
教えられたとおり、
京浜急行に乗り換え、
子安駅で下車し徒歩で向かいました。
三階建ての小さなビルで、
どことなく庶民的な雰囲気を醸し出しています。
本局でていねいに教えてもらったおかげで、
書類は難なく受理され、
ようやく安堵の胸をなでおろしました。
ら、
となりのブースから何やら大声が。
相談しているひとの日本語は、
明らかに中国語訛り。
かなり大きな額の数字を語っています。
応じている係のひとの声も次第に大きくなり…。
たいへんだなぁ。
登記関係のことは、
日本で生まれずっと日本で暮らしてきた者にとっても、
ちんぷん漢文。
何度説明されても、
分かったような分からぬような。
役所の係の人に罪はありませんが、
なんだか言いくるめられているような。
結局、
そもそもだれのものでもない地球表面を切り刻み
所有するという観念が幻想だからなのでしょう。

・夜に入るうつつか夢か花万朶  野衾

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