幻想

 

・ラマ僧の足跡深し春の浜

家のことで朝、法務局に出向いたら、
わたしが住まいする保土ヶ谷区の管轄は本局ではなく、
神奈川出張所に出向かなければならない
と告げられ、
教えられたとおり、
京浜急行に乗り換え、
子安駅で下車し徒歩で向かいました。
三階建ての小さなビルで、
どことなく庶民的な雰囲気を醸し出しています。
本局でていねいに教えてもらったおかげで、
書類は難なく受理され、
ようやく安堵の胸をなでおろしました。
ら、
となりのブースから何やら大声が。
相談しているひとの日本語は、
明らかに中国語訛り。
かなり大きな額の数字を語っています。
応じている係のひとの声も次第に大きくなり…。
たいへんだなぁ。
登記関係のことは、
日本で生まれずっと日本で暮らしてきた者にとっても、
ちんぷん漢文。
何度説明されても、
分かったような分からぬような。
役所の係の人に罪はありませんが、
なんだか言いくるめられているような。
結局、
そもそもだれのものでもない地球表面を切り刻み
所有するという観念が幻想だからなのでしょう。

・夜に入るうつつか夢か花万朶  野衾