明日はきっと

 

・新緑や民家もひとも燻されり

やるべきことを終え、
秋田駅のホームの待合室でぼーとしていると、
明るい歌が流れてきました。
♪明日はきっといい日になる、明日はきっといい日になる…
そうだな。
そう思っていないとな。
いろいろあっての人生だ。
明日はきっと…
と、
だれが歌っているんだろう?
こういうときに便利なのがスマホ。
さっそく検索したところ、
分かりました。
高橋優。
秋田県横手市出身。
ああそれで。

・新緑の小楢見てするオナラかな  野衾

復調

 

・てふてふがてふてふを追ふてふてふと

昨年暮れあたりから体調が狂いはじめ、
肩が凝ったり首が凝ったり、
頭が痛かったり、
食欲がなかったり、
味覚がおかしくなったり、
眠れなかったりと
いろいろしてきましたが、
鍼灸、マッサージ、整体院と、
いろいろ通って体のバランスを整えてもらい、
食べ物に気を付けているうちに、
だんだん
元のからだに戻りつつあります。
ふ~。
食欲がでてきたのが
何よりうれしく。
会社のみんなにも心配をかけました。
還暦の年ですので、
見えない疲れがでたのでしょうか。

体調とは関係ありませんが、
事情により、
明日のよもやまはお休みにします。

・蛇を見て跳ねる婦人に蛇逃げる  野衾

スピード

 

・パイナップル買ふて気分は南海へ

学術書の強みは、
とくに人文系の書籍の場合、
新刊はあまり売れなくても、
既刊本が長く売れるところにあったわけですが、
このごろどうもそうでない。
仕事ですから工夫はするけれど、
あらゆることのスピードが
こう激しく加速し、
あっという間に忘れ去られていく現状を考えると、
宜なるかな、
然もありなん。
一日一日がたたかいで。
ほんと。
きょうも暑くなりそうです。

・パイナップル甘さを包む剛の皮  野衾

予約してますか?

 

・練習後芯がキンキンかき氷

イシバシがまたよもやまネタを提供してくれましたので、
簡単に披露したいと思います。
週末に学会参加のため
泊りがけの出張になったのですが、
忙しくしながら電話でホテルを予約したため、
どこのホテルだったかを
イシバシ忘れてしまった。
メモもどっかへ行ってしまった。
そのことを知り、
わたしはゲラゲラ笑いましたが、
ほかの社員は誰も笑わない。
可笑しくないのかな?
それとも、
笑ってはいけないと思って我慢した?
それはともかく。
どこのホテルだったかな?
あのホテル? このホテル? アパホテル?
なんてことで
「えいやっ!」とイシバシ。
「もしもし、あのー、わたし、予約していませんか?」
あははは…
おもしろい!
面白すぎ。
驚いたのは、
間抜けな電話であったにもかかわらず、
一発で予約していたホテルに電話を掛けたこと。
イシバシ恐るべし!

・音立ててかぶりつく子のメロンかな  野衾

奥邃の文

 

・風薫るかつてこの地の古墳群

仕事がら、
いままた奥邃の文章を読んでいますが、
奥邃のは、
かつて読んだ文のだれともなにとも似ていない。
似ていないということは、
独特の味わいがあるということで、
広やかな伸びやかな気に触れ、
息が深くなるように感じます。
奥邃の文には
「わたし」がまとわりついていない。
そこがほかの書き手と決定的にちがう。
清潔が天国への第一歩ということですから、
冗談でなく、
深い本気が文にも現れているのでしょう。
捨て身、
ということでもないけれど。
則天去私と有神無我は似て非なるもの。

・薫風や汽笛の音を載せ来たり  野衾

ジャス

 

・見えねども夏を賑わす雀かな

鵠沼海岸の整体師宅には
ネルとジャスがいて、
ジャスは猫。
訪ねていって部屋に入り
ジャスを見つけ、
「ジャス!」
と呼ぶとこちらを見ることもあれば、
見向きもしなかったり。
ジャスは猫。
九十分施術してもらい、
帰り際、
「ジャス、またな。バイバイ」
と、
とことこ歩いてくることはなく。
したがって、
「ダメだよついてきちゃ。また来るからさ」
と言うこともなく。
何を考えているのやら。
雀が鳴いています。

・花あやめ翁の顔に似てゐたり  野衾

ネル

 

・潮の香を運び来たるや初夏の風

鵠沼海岸の整体師宅には
ネルとジャスがいて、
ネルは犬。
訪ねていってネルを見つけ、
遠くから「ネル!」
と呼ぶと瞬時にこちらを見、
耳をピンと立てます。
九十分施術してもらい、
帰り際、
「ネル、またな。バイバイ」
と、
とことこ歩いてきて、敷地の枠から抜け出てきました。
「ダメだよついてきちゃ。また来るからさ」
敷地の中まで送り返したら、
今度はおとなしく、
だまってこっちを見ていました。
雀が鳴いています。

・新緑やペットボトルの水ごくり  野衾