Archives : 3月, 2017

香料

 

・見下ろして桜ぽつぽつ掃部山

街を歩いていていまいちばん困るのは匂い。
体調を崩してからいろいろ変化があり、
匂いに敏感、
というか、
過敏になったのがそのひとつ。
体調は旧に復しつつあるのに、
匂いだけは鼻についてたまりません。
とくに、
女性の髪の匂いと、
洗剤の匂いにやられます。
自然の花の匂いに似せて作られた匂いなのでしょうが、
どうしたってそれは似て非なるもの。
とは言い条、
まさか見も知らぬ女性に向かって
文句を言うわけにもいかず、
だまって遠ざかるようにしています。
昨夜、
疲れた体を引きずり
自宅近くの階段を上っていたとき、
不意にあの洗剤の臭いが鼻腔を刺激し、
街全体が、
地球を取り巻く大気全部が
香料に覆われている錯覚にとらわれ、
クラクラッとなりました。

・はるうららすることなきをしてゐたし  野衾

青りんご

 

・時期遅れ区の掲示板春うれひ

急にりんごを食べたくなると、
家人に頼んだり
自分で買ってきたりするものの、
このごろは、
甘さの強いものがほとんどで、
きりりと酸っぱいりんごが少なくなったような気がします。
菊の花のように、
思わず顔を顰めてしまう青りんごが食べたい。

・業終えてどこか行きたし春愁ひ  野衾

辛夷

 

・花辛夷空はますます青くなり

千昌夫が歌ってヒットした『北国の春』にも歌われている辛夷。
ふっくらした花びらの辛夷ですが色も。
さびーさびーと、
つい秋田弁になって歩いているとき、
不意に辛夷の花が目に入り、
見とれることしばし。
下から見上げる辛夷の花は、
大きな空の皿に添えられて美味しそうにも見え、
皿の青はいつもより深く感じられます。

・群青の空に点々花辛夷  野衾

ウェザー・リポート

 

・鶯の歌ややうやう整へり

昭和の抒情歌ばかりを聴いていたら、
なんとなく気分がウエットになってきたので、
ここいらで一発払拭すべく、
さて何か何かとCD棚を物色。
お!
ありましたありました。
『ウェザー・リポート ライヴ・イン・トーキョー』
ビシビシッ、ドカドカドカドカ、バシッ、バシッ、
で、
ドン!
文字じゃつたわらねーー。
1972年1月トーキョー。
わたくし15歳。
生で聴きたかったぜー。
なんて。
その歳で生で聴いても、
ちんぷんかんぷん目を回したことでしょう。

・鉢植えの色を撫でゆく春日かな  野衾

歌の説得力

 

・昼の夢ひねもす海を三月尽

ひきつづき三橋美智也の歌を聴いていて、
はっと思いついたことがあります。
それは歌の説得力。
ふつうなら歌い上げる場面で、
かれはさらりと歌い流す。
肩の力を抜いて
隣にいるひとに語り掛けるように歌います。
かつて美智也の歌を聴いただれもかれもが、
かれの歌に説得され、
ふるさとを思い、
ふるさとに帰ったことでしょう。

・物欲しき夢を覚ませよ春の雨  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。