Archives : 2月, 2017

商いために

 

・サラリーマン自販機睨み春を飲む

編集の仕事に就いて二十八年、
短くない時間を過ごし、
覚えたこともあり、
ひとつひとつを
新しい気持ちでこなすことが難しい
と感じることがあります。
そうなると、
外に刺激を求めたくなりがち。
その志向が
必ずしも悪いとも限りませんけれど、
よくもない。
そんな気がして、
さてどうするかというと、
ひとつひとつをゆーーーーっくり、
じっくりとこなす。
一文字一文字を
舐めるように読む。
そうすると、
根拠のない不思議な味わいが
じんわりと生まれ、
へー、で、ほー。
仕事はつねに目的を持って行われますが、
その過程においては、
目的を忘れることも大事かと。

・日向ぼこまず半日の空き時間  野衾

霞始靆

 

・階段を上りきるまで春よ来い

きょうまでの五日間は、
七十二候でいえば
【霞始靆】
かすみ はじめて たなびく
と読むんですね。
朝夕、山に霞がたなびく頃という意味だそう。
都会では近くに山はありませんが、
かえって想像の連山は大きく立ちはだかります。
ちなみに明日からの五日間は、
【草木萠動】
そうもく めばえ いずる
春もいよいよです。

・弓なりに背を伸ばしきる日向猫  野衾

化学物質過敏症

 

・鉄瓶の口先つんとホーホケキョ

その症状に該当するかどうか定かではありませんが、
とくに、
トイレの芳香剤、
あれは気持ち悪くなり、
ひどいときは吐き気を催します。
オシッコの臭いのほうが
まだマシ
と思ってしまいます。
美醜の感覚同様、
匂いに関しても人それぞれですから、
強く言えませんけれど、
たとえば整髪料、
頭がくらくらするものあり。
整髪料なら
逃げれば済む話。
が、
トイレとなると、
そういうわけにもゆかず、
困ったものです。

・あの曲を先生弾いてよ春よ来い  野衾

和製シナトラ

 

・不興気の野良猫のそり春浅し

歌が始まると、
空間ががらりと変わるそんな歌い手がいます。
フランク・シナトラなど、
その最たるものでしょう。
いまはセットもののCDが安く手に入りますから、
ゴージャスな気分に浸りたいときは、
家でも会社でも
シナトラをかけうっとりしています。
眠くなるのが玉に瑕。
ところで三橋美智也。
ゴージャスとはちがいますが、
哀愁に充ちた昭和の空気感がただよい、
つい聴き惚れてしまいます。
「山の吊り橋」は
春日八郎の大ヒット曲ですが、
これを三橋が歌うと、
山の吊り橋の揺れ具合が、
春日の歌とはまた微妙に違って面白く。
うだッコはいいなぁ!

・習いたて音楽室の早春賦  野衾

うだッコ

 

・光来る山笑ふまであと幾日

秋田では、ものにコをつけてよぶことが多く、
馬っこ、
べごっこ、
わんこ、
ちゃわんこ、
挙げればきりがありません。
歌にもコをつけ、
うだッコ。
このごろテレビは歌番組が多く、
古い歌を新しい歌手が歌ったりもしますが、
むかしの歌手のうだッコに
なかなか敵わないようです。
たとえば全盛期のころの三橋美智也。
本人の歌は子供のころから知っていて、
ずうっと聴いてきました。
先だって、
昭和の歌を三橋が歌っているCDの存在を知り、
さっそく購入、
それを聴くのがいまの楽しみ。
「あざみの歌」
は伊藤久男が本家で、
もちろんすばらしいけれど、
三橋の歌もすばらしく。
「山には山の愁いあり…」
哀愁がたなびき。
うだッコはいいなぁ。

・アネモネの家から洩れるピアノかな  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。