・玻璃のごと煌めく薄き桜かな

つねこせんせい。
したしくそう呼んでいました。
中学校の音楽の先生で、
ブラスバンド部の顧問をしておられました
(わたしの担当はユーフォニアム)
が、
まるで親のように、
いや、
親には決して相談しないようなことまで打ち明け、
先生も
親身になって耳を傾けてくれ、
だけでなく、
倉田百三や岡潔の本を貸してくださいました。
高校に入学したとき、
パーカーの万年筆をいただきました。
高校三年間、
朝、
最寄りの駅へ急ぐわたしを、
一日も欠かさず見送ってくれました。
ジョン・レノンのイマジンの譜面を見つけ、
先生に持って行き、
ピアノで弾いてもらったこともあったっけ。
「いい曲ね…」
ときどき会社で聴いています。
先生から最後にいただいた葉書は、
いまも大切にとってあります。

・紫の野草ゆかしき春日かな  野衾