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・シャクシャクと清音ひびく西瓜かな

大学時代からの友人S君から手紙が来ました。
前々回会った折に借りていたDVDを
前回持って行ったのに、
返すのを忘れてしまったという内容で、
プチプチ緩衝材つきの封筒に入れ送ってくれた。
今度会うときでよかったのに。
昔から律儀な友です。
それはそれとして、
ん!
と眼が留まったのは
添えられていた手紙の字体。
ボールペンで書かれたその字は、
たしかにS君の字であった。
便箋に書かれてはいるけれど、
大学時代、S君のノートに書かれていた字にそっくりだ。
それもそのはず。
S君はいくつになってもS君で。
同じ人間なのだから、
あたり前田のクラッカー、
てか。
が、
ちょっと感動した。
大学を卒業し、
時が流れ、
仕事がらロンドン行ったりニューヨークを経験しても、
可愛い孫ができても、
好々爺と呼ぶにはあまりに若々しいけれど、
変らない字の形を見て嬉しくなった。
S君は、
井上陽水の「傘がない」なんかを朗々と歌う。

秋田魁新報に拙稿が掲載されました。
コチラです。

・半島の光り熟して西瓜かな  野衾