時の劇

 

・ほとほとと夏の終りの女陰かな

サントリー芸術財団サマーフェスティバル2014
「ザ・プロデューサー・シリーズ 木戸敏郎がひらく 20世紀の伝言」
を観てきた。
そもそもは、
詩人の佐々木幹郎さんが「春風新聞」に
木戸敏郎の『若き古代―日本文化再発見試論』を取り上げられ、
そんなに面白いのならどれ読んでみるかと思い立ち、
読んでみたら、
むちゃくちゃ本当に面白い面白かった。
伝統を創造へつなぐための本気が
ひしひしと伝わってきた。
ところへ、
本気の木戸敏郎が三十七年ぶりに再演することになった
カールハインツ・シュトックハウゼン作「リヒト」から「歴年 1977」
を観ないわけには、
聴かないわけにはいかない。
音楽担当=木戸敏郎
共同演出=木戸敏郎、佐藤信
この催しも佐々木さんに教えていただきました。
いやぁブッとびましたね。
真の前衛てこういうことをいうのか
と、
公演が終っても
体がざわついていて、
思いました。
ほんとうのものは
ほんとうの深さは体が教えてくれる。
雅楽の公演に、
マントを羽織った黒の下着姿のきれいな美しい
若き女性の踊りまで登場するのだもの。
いやはや。
三十七年前の国立劇場での初演の際、
音楽関係者から非難ごうごう酷評にさらされた
というのも、
考えてみればむべなるかな。
千年の伝統はまた千年の縛りでもあったのだろう。
体のざわつきはひと晩寝て治まった。
木戸敏郎さんに会ってみたくなりました。

・秋深し哀しき音すほとやほと  野衾