それにして、も。

 

・ここそこに淡き色して桜かな

特殊漫画家根本敬の
エッセイを読んでいると、
「それにして、も。」
という語がたまに出てきます。
『因果鉄道の旅』のなかに、
この語をこういう根拠で、
だったか、
こういうニュアンスを帯びるから
だったか、
ともかく、
そのつかい方について
根本さんなりの意図が書かれていた気がしますが、
忘れてしまいました。
てか、
そのときは、
へ~、ちょっと変ったつかい方、
ぐらにしか思わなかった。
ところがその後、
『因果鉄道の旅』につづいて
『電氣菩薩』を読むに至り、
この「それにして、も。」

なんとも味わい深く思えてきました。
好きだった、
いや今も好きな中野好夫の
エッセイ、
あるいは評伝などに登場する
「閑話休題」
のつかい方にも匹敵し、
面白くかつ味わい深い。
読点と句点がすこし滑稽で可愛らしい。
書き手がノッて書いてきたのを、
そこでみずから不意にブレーキをかけ、
とでもいったらいいか、
頭を冷やし、
ていうふうなニュアンスも出、
リズムに変化が現れテンポが変る気がします。
それにして、も。
つかい方を根本さんに習い、
倣い、
真似してつかってみたくなります。

・るてえるやほっほふふふふさくららら  野衾