マルホランド・ドライブ

 

・もやもやと腋くすぐられ山笑ふ

恋人はもちろん、
恋人でなくても大切なだれかを失ったとき、
ひとはどうなるか。
そのことを思い出させてくれる、
シュールで、痛く、切なく、
美しい映画でした。
『マルホランド・ドライブ』
二〇〇一年に製作された映画で、
監督はデイヴィッド・リンチ。
何が起きているのか、
事実なのか
夢なのか、
起きていることの意味はなんなのか、
一瞬も目を離せません。
ひとつひとつのことが、
当座は通り過ぎても、
後半への
精密な伏線になっており、
一昨年亡くなったアントニオ・タブッキの
目くるめく小説を彷彿させ、
また
かつて、
有楽町で観たあと、
館を出、
街をふらふら歩いてふらり入った先の店で
コーヒーを頼み、
ほとほと泣いていた
若いころ観た映画をなつかしく
思い出したりもし、
濃密で
くすぐったくもある時間を堪能。
いい映画でした。
好きな映画リストの上位にランクイン!
つぎはインランド・エンパイア。

・霞み立ち竹林淡く揺れてをり  野衾