えびすと?

 

・曇天に紅梅の紅色を添ふ

三月に入りました。
新しい仕事が決まり、
その打ち合わせのために
人類学ご専門の著者と、
紹介してくださった先生が来社される日の
事前の打ち合わせをしていたときのこと。
ふたたび登場のイシバシ、
この度は小声にて、
おもむろに、
「レビ…? エビ…?」
と言いますから、
「なんのこと?」とわたし。
「ほら、よく男の編集者の話に出てくる…。
いまも出てきたでしょ」
「ん!?」
「えびすと…」
「えびすと?」
「えびすと…」
「あ!」
「なんですか!?」
「わかった!」
「なにが?」
「えびすとじゃなくてレヴィ=スト」
「ああやっぱり。えびすとなのかれびすとなのか迷って」
「レヴィ=ストロース」
「はい」

・紅梅や宿の眠りの頬を染む  野衾