・春の宵友と無言の「神田川」
高校の同期生で陸上部でもいっしょ、
学部はちがっていましたが、
大学も同じだった友人のIくんが遊びにきてくれました。
ときどき来ます。
Iくんはフォークソングが好きなので、
来るとだいたい掛けます。
秋田にいる弟がくれたCDが六枚あり、
それを順繰りに。
六枚というのは中途半端な数字ですが、
「フォーク集」五枚のなかから
選りすぐりを一枚のCDに収めたのを最初くれ、
しばらくしてから、
五枚全部をコピーしてくれました。
Iくんは、
カメラマンの橋本さんが感動するほど酒が好きです。
Iくんから酒を取り上げたら、
体を悪くするのではないか、それぐらい。
美味しそうに飲みます。
絶対に乱れません。
たまに寝ます。
CDを聴きながら、
とくに話すこともありませんが、
二人とも髪があった昔をなつかしみ、
除雪車が雪を払って
両側が高くなった道路のような頭になった今を笑い、
酒をゆっくり楽しみます。
神田川、岬めぐり、なごり雪、わかって下さい、…。
いいなぁ、いいなぁ、で、
夜が更けていきます。
・式のごと酒の瓶持つ友の顔 野衾