Archives : 5月, 2013

米沢まで?

 

・水吸ふてあぢさゐ青をつくりけり

まずこちらをご覧ください。
コチラ「カエルちゃん」。
秋田の出版社・無明舎の社長のブログで、
わたしが毎日チェックするブログのうちの一つです。
昨日のことでした。
きょうはスリッパの話か。
ふんふん、ふんふん、なるほど、ふんふん。
ん! え?
机に身を乗り出し、
パソコン画面に顔を近づけました。
ああびっくりした。
「最近は光沢まで出てきたような、気がする。」
何を不審に思ったのかといえば、
文中の「光沢」が「米沢」に見えたのでした。
スリッパ履いて米沢まで行ったのか、
なんて。
そんなはずはないわけでして、
いきなり文意が跳んだなと思いきや、
跳んだのは文意ではなく、
わたしの眼でありました。
ところで、
光沢と米沢。
少し離れて見ると、
いや、
近くで見ても、
実によく似ています。
「光」の縦棒を途中で止めないで下まで下ろすと、
「米」という字になるではありませんか。
光を浴びて米は育つってか。
発見!

・あぢさゐや季節の色を染めにけり  野衾

個性

 

・物思ふ残り少なし五月かな

代休とあわせこの週末に
土佐を旅してきた専務イシバシが、
会社へのお土産に小夏を買ってきてくれました。
昨日の三時に新入社員のKさんと
弊社シンボルマークの木のテーブルの上に
まな板を置き、
皮を剥き
適当な大きさに切って
社員に供しておりました。
わたしも小皿に置かれた小夏を食し、
フレッシュな甘さと酸っぱさに
顔がほころび萎みました。
みんなに供して後、
われも食わんとイシバシ一切れ口中にするや、
だらだらだらと汁がこぼれ、
慌てて身を乗り出し、
顔をまな板の上まで持っていった。
セーフ!
かろうじて
木のテーブルを濡らすことはなかった。
ほっ!
やれやれ。
イシバシのその動作を見ていた者は、
呆気にとられ皆大笑い。
笑いの嵐が収まった後、
イシバシ今度は木のテーブルに向かい
椅子に腰掛け
静かに小夏を食しながら、
「わたしときどき思うのよ。
三浦さんと組んでよかったのかと…」
一同、???
「三浦さんは個性を重んじるから、
わたしはいつまで経ってもわたしのまんま、
矯正されない」
皆はまた大笑い。
うれしいような悲しいようなの
九十九里原人イシバシ女史でした。

・飛鳥山とろろあふひのなめらかし  野衾

 

・新緑を眺め電車の夢うつつ

このごろ手足の爪の伸びが速い。
ひょいと見ると、
なんだ、
つい先だって切ったのに、
もうこんなに伸びたのか。
やれやれ。
それほど時を置かずしてまた見ると、
伸びている。
また爪を切る。
切った爪の屑が
あらぬ方向に飛んでいったりして、
そうなればメガネを外し、
床に這いつくばるようにして探してみたり。
やっと見つけてゴミ箱に捨て、
ふと考えた。
爪の伸びが速まるはずはないのではないか。
鼻の成長は死ぬまで続くというが。
そういえば、
年取った人の鼻はデカイ!
それはともかく、
爪は
成長を速めたのではなく、
爪の成長が速まったと感じる
わたしの観念が問題なのでしょう。
五月も、
今日を入れてあと三日。

・千年の直立棘あり黄蜀葵  野衾

田植え終了

 

・置き去りし罪のにほひの五月かな

秋田の実家の田植えが終わりました。
足腰に痛みのある母が、
苗を入れてあるダシとよばれる
プラスチック容器を洗う係りと聞き、
あららら、
だいじょうぶかぁと危ぶんでいましたが、
昨日の昼、
ココイチでカレーを食べてから、
紅葉坂へ向かう道道、
携帯電話から実家にかけたところ、
ちょうど母がでて、
「たおいだ。たおいだ」
とは言っていましたが、
声に明るさがありましたから、
まずはひと安心。
弟が時間を見つけては、
夕飯のおかずを買ってきたり、
カレーを作ってくれたりするので、
とても助かると。
「たおいだ」は、
秋田弁でくたびれた意の「倒れた」

・坂道を後ろ向きにて上りけり  野衾

散蓮華

 

・古書取りてはらり頁の風薫る

ちりれんげ、と読みます。
読むそうです。
略して、れんげ。
にわか仕込みの知識ですが。
ラーメンを食べるときに供される陶器製のスプーンで、
なぜ散蓮華と呼ぶかというと、
蓮の花の散った一枚の花びらに見立て、
そう呼ぶようになったのだとか。
いわれてみれば、
たしかに似ています。
散蓮華。
音も五音。
ちりれんげ。いい感じ。
ところで、
刻みの入ったものもありますが、
あの切り欠きが施されている散蓮華は、
だれが考案したのでしょう。
実に巧い工夫です。
あれがないと、
スルスルボチャン。
せっかく拭いて、
どんぶりの縁に静かに置いたのに、
またスルスルボチャン。
茶碗の湯舟に浸かっている目玉おやじが、
お尻すべってボチャンとなる、
その姿をつい連想してしまいます。

・薫風や尾根を渡りてこの地まで  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。