おならは

 

・おシャレより長靴バシャバシャ春の雨

高峰秀子の『私の梅原龍三郎』を読んでいたら、
「おならを落とす」ということばがでてきて、
そういう言い方もあるのかと
初めて知りました。
とてもオシャレだった梅原龍三郎の
晩年のエピソードだったと思います。
放屁を「屁をひる」「屁をこく」と言うのはあたりまえですが、
信愛し敬愛する梅原龍三郎との思い出を彫琢するのに、
「屁」も「ひる」も「こく」も、
相応しくなかったのでしょう。
「おならを落とす」という言い方が
初めてだったこともありますが、
その言い方に、
高峰さんの微妙な優しさがこめられているようで、
印象ぶかく読みました。

・云ふほどに優しくもなし春の雨  野衾