イメージ

 

・スリットの裂けて鮮血噴き出せり

先週のことです。
ある朝、
保土ヶ谷橋の交差点を渡って歩道を歩いていたとき、
前を歩く女性の後姿が眼に入りました。
なんだか窮屈そうです。
それもそのはず。
恰幅のいい体型で、
脚もたくましく立派、
少しO脚。
追い越そうかとも思いましたが、
そうするには、
小走りにならなくてはいけないほどのスピードで
彼女は前を歩いていましたから、
つまり、
わたしの歩くスピードと
ちょうど同じぐらいだったので、
追い越す動機がありません。
1メートルぐらいの距離を置き駅まで歩きました。
彼女のスカートの後ろ真ん中に
スリットが入っています。
そのスリットが左右に引っ張られ、
スリットというよりも、
布の裂け目をむんず両脇からつかみ、
力任せに破こうとしているようにも見えます。
食べ過ぎて胃の調子をおかしくし、
唇の横が破れ、
何を食べるにもおちょぼ口でしか食べれないときに、
恐る恐る気をつけて食べていて、
瞬間そのことを忘れて
ドバッと唇が切れ、
血が噴き出したときの映像が目に浮かびました。
でも、
それはわたしの勝手なイメージで、
実際はスカートは破れることはありませんでした。
ただ、
臀部の真ん中にあったスリットは、
相当左脚の側に回っていました。
彼女はそのまままっすぐ駅に向かい、
わたしは、
コンビニの横から駅へとつながる階段へ逸れ、
目の呪縛からようやく解放されました。

・行く春に手を挙げくるり回れ右  野衾