「うら」をよむ

 

・マンションのチラシに夢はセレブリティ

源氏物語を読んでいたら、
「うら」に頭注があり「心のこと」と説明書きがありました。
「うら」というと、
まず思い浮かべるのは「裏」。
心と書いて「うら」と読ませるのは特殊な使い方かと思い、
古語辞典を引いてみたら、
ちゃんと載っていました。
載っているだけでなく、
赤鉛筆で太くしるしが付けられていました。
高校に入ってすぐに買った辞書で、
授業で先生から教わったかして、
これは大事と思ってしるしを付けたのでしょう。
すっかり忘れていました。
それはともかく。
心と書いて「うら」。
いまは「心」だけでは「うら」と読みませんが、
「うら悲しい」や「うら寂しい」はそのなごりではないでしょうか。
飛躍して、
「うらぶれる」や「うらやむ」の「うら」を
「心」との関連で考えることも楽しい。
もっと言えば。
心と書いて「うら」。「うら」に心がある。
だから日本人は「おもて」でなく「うら」を
よむ、よみたがるのでしょう。
また、
うらをみがくことは心をみがくこと。
表をみがくなんてあたりまえ体操。
うらをみがいてこそ、なんぼ。
寅さんの裏地の模様が飾ってあったじゃないですか。
それが粋(いき)ってものだよ。ねぇ。

・おごそかに新人客にお茶を出し  野衾