メールあり踏んづけちまえ霜柱
昼、太宗庵に蕎麦を食べに行こうとして坂を下りていき、
途中、角のお店をひょいと見たら、中にいた店のおねえさんが
ぺこりと頭を下げたので、わたしもお辞儀を返しました。
ときどきチョコレートを買うぐらいで、
話をしたこともないのに、覚えていてくれたのかと思ったら、
うれしくなりました。
おねえさんの手は、かさかさ乾燥していて、
あかぎれ、とまではいきませんが、なんだかかわいそうです。
クリームを塗ってはどうか(塗っている?)と思うのですが、
わたしが言うのは変でしょう。
太宗庵で鍋焼きうどんの大盛りを食べました。
鼻汁がしこたま出て、テーブルの上はティッシュの山。
勘定を払い外へでて、おねえさんのお店に向かいました。
横綱あられとアーモンドチョコレートを買いました。
五百円玉を渡しお釣りをもらったのですが、
かすかに触れたおねえさんの指先は、少しかさかさしています。
クリームを塗ったらいいのでは…
やっぱり言うのを止しました。
会社に帰ってそのことを話すと、
「商売が上手なのかもしれませんよ」とナイ2くん。
なるほど。
意識してしていることとは思えませんが、
わたしのように感じている客の意識と視線を
おねえさんが意識していることは、
じゅうぶんあり得そうです。
でも、うがった見方をすれば、
おねえさんにかぎらず誰でも、
意識と無意識の境目は難しい気もまたします。
珪藻土黴無き霜の時積もり