風船

 

 保土ヶ谷駅まんまる冬の月見蕎麦

また夢を見ました。
編集長ナイ2が「この本、凄いですよ」
テーブルの上に大判の本があって、
どうもその本のことのようです。
開いてみました。
すると、どのページにもいろんな風船が描かれています。
少し透けているような、手で触れるような、
実にリアルな風船です。
ナイ2君は、にこにこしながら黙っています。
不思議にリアルな風船だなあと見ているうちに、
本の縁(へり)から食み出して、浮き出て見えます。
そうか。浮き出る絵本なんだ!
3Dのメガネで見ているような感じです。
つい手を伸ばして触ってみたくなります。
それで、手を伸ばし、つかむようにしました。
つかもうとすると、つかむことはできなくて、
そこは3Dメガネで見るのといっしょですが、
何度か手のひらを握ったり開いたりしているうちに、
それまで描かれた絵と見えていた風船の感触が
たしかに指に伝わってきました。
思わず、風船を放ってしまいました。
風船はふわりふわりと、床にバウンドしています。
へー! これは凄い!
ナイ2君の顔を見ると、「でしょ」
そうか。このことだったんだ。
本のなかから次々風船が飛び出して、
あちこちシャボン玉のようにバウンドしています。
わたしは、この風船たちを本に戻すにはどうするんだろう、
などと要らぬことを考えていました。

 駅蕎麦のつゆを残して冬の月

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