練功千日

 

 野良猫が生ゴミ攫ふ月夜かな

二〇〇七年二月一日から始めた禅密気功ですが、
今日で千日になりました。
朝は一日も欠かしませんでしたが、
夜は食事をしたあとちょっと横になって休むつもりが、
すっかり寝入ってしまい、
眼が覚めてもどうにもやる気が起きず、
そのまま布団に入ってしまうことも間々あります。
が、
この気功のおかげで、体調は今のところ良好。
体重も不摂生をしていた頃に比べ十キロほど落ち、
ほぼ適正体重に戻りました。
もう一個免状をもらうと、
お金をいただいて人に教えることもできるのですが、
本業が忙しく、時間が取れそうにもありませんから、
それはひとまず置いといて、
引き続き健康維持のために続けるつもりです。
数字が問題ではありませんが、
続けるための一つの契機にはなりますから、
次は練功二千日を目標にします。

 半月の下の黒子の夜寒かな

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紙の辞書

 

 秋寒や若沖の鶏羽ばたけり

岩波書店では、来月20日に「岩波国語辞典第七版」を発売するそうです。
わたしが最初に買った辞書が「岩波国語辞典」でした。
中学一年生のときです。
今は会社に置いてあります。
『トーハン週報』という主に書店員が読む雑誌がありますが、
そこに岩波書店辞典編集部の署名で、面白い記事が載っていました。
タイトル「紙の辞書だからこそ」。
電子辞書やインターネットと比較し、
紙の辞書の良さが縷々力説されています。

①一覧できる。つまり、ひと目でいろいろな項目が目に入る。
目的の言葉だけでなく、周辺の単語が目に入るので、
意外な言葉との出会いや発見がある。それによって、言葉の世界が広がる。
(なるほど。でも、ちょっと苦しい感じ)

②紙の辞書で引くと、記憶の定着度が高い。
(え!? そうなの? だいぶ苦しい感じ)

③紙の辞書には、「紙幅の制限」がある。
分量を気にせず書き込めるインターネット上の辞書と
最も異なる点である。ページ数に限りがあるから、
必然、解説文は簡潔でわかりやすく、要領を得たものになる。(なる!)
そして、新たに収録する言葉も、
なんでも入れるというわけにはいかないため、重要性の高い言葉や、
現代の生活に必要な言葉を吟味し厳選する。
(相当苦しい感じ)

(  )はわたしの感想ですが、この記事を読み、
紙の辞書づくりにかける編集部員の苦労が身につまされました。
紙の辞書ってこんなにいいんだぞ!と、
脂汗を流しながら力説する情熱が伝わってくるではありませんか。

 明日届く机待つ夜の鉦叩

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極私的

 

 秋の日のワインにチーズフォンデュかな

実物をまだ見たことがありませんが、
キンドルという液晶画面の電子端末があるそうで、
読みたい書籍や新聞などを端末で購入すると、
通信回線を通じてデータとして取り込み、
液晶画面で読むことができるのだとか。
ところが、アメリカで、
キンドルにまつわるちょっとした事件が起きた。
ジョージ・オーウェルの『1984年』を
キンドルで読んでいた人が相当の数いたらしいのですが、
突然画面から消え、読めなくなったそうです。
著作権のことで問題が生じ、配信する側が消したという。
本を読むということは、きわめてプライベートな行為で、
恋人との蜜月よりももっと濃密な時間が流れることもある。
それが、だれかの手によって管理されるということになれば、
読書そのもののあり方が変容せざるを得ない…。
そういうようなことを一昨日、NHK「視点・論点」で
作家の藤原智美さんが話していました。
(恋人との蜜月よりも、とは藤原さんは話されませんでしたが)
坂口安吾の『堕落論』を、ジャックナイフを
ふところに忍ばせるように持ち歩いていたという、
ある作家の若き日のエピソードを思い出しました。
本と人との距離がますます問われることになりそうです。

 鰯雲とろ~りチーズフォンデュかな

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傑作パンフ!

 

 秋集ふ朱き唇ナポリタン

秋田県農林水産部水産漁港課の鰰(ハタハタ)のパンフが凄い!
県庁から毎月送られてくる資料のなかに入っていたものですが、
こんなに元気のでるパンフレットは久しぶりです。
煮て良し焼いて良し鍋で良しのハタハタをぜひ知ってもらいたいというこころが、
パンフレットのどこを見ても溢れています。
このパンフの制作にかかわった方たちが人後に落ちぬハタハタ好きなのでしょう。
ドッカ~ン!! と表に鰰をもってくるあたり、
ちょっとほかでは思いつかないのではないでしょうか。
神の魚鰰[秋田ハタハタ]
どうだ! 知っとるか! これが秋田名物ハタハタだぞ!
口角泡が飛んできそうではありませんか。
鰰の文字の由来、秋田人の鰰に寄せる思いが静かに細やかに記されています。
裏を見ると、
「これぞ神の魚「秋田ハタハタ」実寸大」
あはははは…このノリ、好きだなあ。
愛が溢れているじゃありませんか。
感謝のこころが滲みでているではありませんか。
そうだそうだ、秋田人は鰰をいただいて育ったのだということを
思い出させてくれる 傑作パンフレットです。

 御殿山手に一冊の秋を知る

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たからもの

 

 うれしきはりなぴの刺繍高き空

近所のりなちゃんが、土曜日、
お母さんとおねえちゃんと訪ねてきてくれました。
『出版は風まかせ』が出来たことのお祝いに、
ひと月ほどかけて刺繍をつくり、それを持ってきてくれたのです。
なんとすてきでしょう!
わたしは、それを見て泣きそうになりました。
刺繍のなかのわたしは、この夏気に入って着ていた
ピンクのTシャツを身に着けています。
左手には、このごろいつも持っているgentenのバッグ。
右手には一冊の本。
背景の木には緑や黄緑の葉が茂り、赤い風船が空高く飛んでいきそうです。
りなちゃんもわたしも、うさぎも猫も、小さな花たちも笑っています。
りなちゃんは、わたしのお気に入りの紺のシャツ。
土曜日もそのシャツを着て刺繍を届けてくれました。
一生のたからものです。

 りな刺繍赤き風船秋の夢

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パフパフ

 

 銀杏散るなか真っ直ぐにビーフカレー

さて今日はなにを書くかなとパソコンに向かって、
すっと書けることもあれば、そうでないときもあります。
うんうん唸っているうちに、
子供の頃のことがふっと思い浮かんだり…。
思い浮かんだり鼻かんだりラジバンダリ、っていうお笑いの人たち、
いつの間にか見なくなっちゃいましたね。
それはともかく。
同級生の親父さんで、パフパフと呼ばれている人がいました。
あれは、どれぐらいの範囲で言われていたのか分かりませんが、
少なくとも我が家では、それで通用していました。
「パフパフが今日来て、茶を飲んでしばらく話して行ったよ」とか、
「パフパフは字が上手くてな。○○なんか揮毫してもらったはずだ」
「さっきパフパフが通ったぞ。パフパフいわせて…」
三番目の例でなんとなく想像できたかもしれませんが、
パフパフは50ccのバイクに付いている
クラクション代わりのゴムのラッパのことであり、
その音がパフパフパフパフとユニークな音なので、
いつの間にか、それを鳴らす人のことをも
パフパフと呼ぶようになったのでした。
パフパフパフパフパフパフパフパフパフパフパフパフパフパフパフパフパフパフ
(あれは、おとぼけの我が父が命名したものではないかと
密かに疑っています)
パフパフは背骨が釘のように曲がっていました。
わたしは、50ccのバイクで走るパフパフを
いろんなところで目にしました。
大きくなって本を読むようになり、
パトリック・ジュースキントの『ゾマーさんのこと』を読んだとき、
なんでだか分かりませんが、
わたしはすぐにパフパフを思い出しました。
主人公の少年がゾマーさんが気になり見ている眼差しに、
パフパフを見ていたわたしの少年時代が重なったのかもしれません。
パフパフの娘とわたしは同級生で、
わたしはそれと知らずに水疱瘡を彼女にうつしたことがありました。

 銀杏敷き浮かれ跳び出づピエロかな

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ゴルゴサーテーン

 

 ぎがぎがと沈み行く陽の銀杏散る

昼、近くの定食屋に入りました。
わが社が入っているビルは丘の上にあるため、
近くにあまり食べ物屋がありません。
なので、交差点角にある定食屋はいつも満席になります。
十一時四十五分に行きました。
一番だろうと思ったのに、豈図らんや、すでに五人いました。
カウンターは予約のしるしの箸が置かれています。
仕方なく四人がけのテーブルの席に着きました。
ランチを頼み、
暇つぶしにケータイの写真を見たりしているうちに、
「お待ちどおさま」
串揚げ、鯖の味噌煮、タラちり、おしんこ、蜜柑も付いて800円。
と、程なく中年男性が二人入ってきました。
一人はオレンジ色の作業着にバーコード頭、一人はスーツ姿。
厨房からマスターが「ご相席でお願いしまーす」
「すみません。ここ、いいですか?」
「はい、どうぞどうぞ」
というわけで、わたしの向かいに座りました。
スーツ姿の男性が立ってカウンター横のラックから雑誌をとってきて、
一冊を連れに渡し、席に着き、自分のをめくり始めました。
すると、雑誌を渡されたほうのオレンジが、
「お、新しいゴルゴサーティーンか!」
それを横目でちらと見たスーツ姿が、
「あ、ゴルゴサーテーンなら、そっちを先に見るんだった」と悔しそう。
オレンジがゴルゴサーティーンと言ったのに対し、
スーツ姿は、ゴルゴサーテーン。
スーツ姿のほうが年上の上司なのかなと思いました。

 鰯雲師の影仰ぐ声届け

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