編集者

 

 飯(いひ)炊けてねんねこの児の眠りかな

ヤスケンこと師匠・安原顯さんは、生前わたしに、
「三浦くん、編集者は合わない仕事だよ。
オレは生まれ変わっても編集者にだけはならねーよ」
ヤスケンは江戸っ子なので、べらんめー調です。
でも、言葉の意味とちがって、ヤスケンは
編集の仕事が好きで好きでたまんないんだなぁと思いました。
合わない=報われない、でしょうから、
ヤスケンが人知れず、どんだけ本づくりに精進していたかと、
ときどきその言葉を思い出します。
きのう、エッセイストで写真家のみやこうせいさんから
手紙をいただきました。
200字詰め原稿用紙13枚びっしりに『出版は風まかせ』の
感想が書かれてありました。
何度も何度も読み返し、ありがたい気持ちで胸いっぱいになり、
近くにいる編集長ナイ2に、
「ヤスケンはああ言ったけど、この手紙を読んで、
報われた気がするよ。
奥邃先生的には報われてはいけないんだけどなぁ」
と言うと、ナイ2くん、
「いいじゃないですか。たまに報われても…」
ナイ2くんの言葉もほっこりと、温かいものが胸に広がりました。

 餅叩く祖母より零る金歯かな

090214_2017~0001