ゴルゴサーテーン

 

 ぎがぎがと沈み行く陽の銀杏散る

昼、近くの定食屋に入りました。
わが社が入っているビルは丘の上にあるため、
近くにあまり食べ物屋がありません。
なので、交差点角にある定食屋はいつも満席になります。
十一時四十五分に行きました。
一番だろうと思ったのに、豈図らんや、すでに五人いました。
カウンターは予約のしるしの箸が置かれています。
仕方なく四人がけのテーブルの席に着きました。
ランチを頼み、
暇つぶしにケータイの写真を見たりしているうちに、
「お待ちどおさま」
串揚げ、鯖の味噌煮、タラちり、おしんこ、蜜柑も付いて800円。
と、程なく中年男性が二人入ってきました。
一人はオレンジ色の作業着にバーコード頭、一人はスーツ姿。
厨房からマスターが「ご相席でお願いしまーす」
「すみません。ここ、いいですか?」
「はい、どうぞどうぞ」
というわけで、わたしの向かいに座りました。
スーツ姿の男性が立ってカウンター横のラックから雑誌をとってきて、
一冊を連れに渡し、席に着き、自分のをめくり始めました。
すると、雑誌を渡されたほうのオレンジが、
「お、新しいゴルゴサーティーンか!」
それを横目でちらと見たスーツ姿が、
「あ、ゴルゴサーテーンなら、そっちを先に見るんだった」と悔しそう。
オレンジがゴルゴサーティーンと言ったのに対し、
スーツ姿は、ゴルゴサーテーン。
スーツ姿のほうが年上の上司なのかなと思いました。

 鰯雲師の影仰ぐ声届け

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