トモ爺

 垣根越し見上ぐ子らにも梅の花
 夢にトモ爺が現れた! 百歳で亡くなったわたしの祖父です。
 わたしは自分の席にいてパソコンを睨んでいました。ふと視線を入り口のほうに移すと、コピー機の横に立ち、なにやらコピーを取っているようでした。わたしを見て、ニカッと笑いました。ニカッ!!
 わたしは一瞬で、普段どんなに嬉しくても、それほどでもないのに、針が振り切れるほど嬉しくなりました。わたしはトモ爺が大好きです。
 わたしのそばまで来たので、すこし話をしました。あいさつに来た独身の女性社員をつかまえ、あと十五歳若かったらなぁ、と、調子のいいことを言って笑わせていました。
 あの弾けるような喜びを味わったのは、久しぶりです。トモ爺とリヱ婆がいなくなったことで、見るもの聞くもの全ての色調が変ってしまったことを改めて、思い知らされました。
 路地裏の梅がほころんだほころんだ

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