歯の欠けた花屋のおやじ花を売る
知らなかった! 先日、知人が三浦半島に花見に行ってきた話をここに書きました。でも、なんだかおかしいなおかしいなと気にはなっていたのです。
ここは横浜、三浦半島といえば、目と鼻の先ではありませんか。それなのに、写真で見るかぎり、満開も満開、なんだか1ヶ月ほどズレてんじゃねーの、と思うぐらいなのです。
はい。1ヶ月ほどズレているのでした。河津桜といって、他の桜より早く咲く品種なのだそうです。
静岡県河津町に原木があることから、昭和49年に河津桜と命名され、昭和50年に河津町の木に指定されたのだそうです。
河津桜は、だいたい1月下旬頃から蕾をつけ、2月上旬から花を咲かせます。開花時期は、ほぼ1ヶ月間。そうだったのかー!!
これからだぬかるみ乾き蕗の薹
三浦半島ではすでに桜が満開らしく、花見に行ってきた知人が写真を見せてくれました。春はそこまで来ています。ところが、朝、室温16℃はなかなか変わりません。これが18℃になれば、お、あったかくなったなーと思うのではないでしょうか。そろそろダウンジャケットを脱ぎたくなってきました。
秋田ではまだ雪が積もっているらしく、桜どころではありません。雪が溶け、ぬかるみが乾いて、ふきのとうの淡い緑を目にすると、ああ春だなーとウキウキしたものでした。
今が去る春思狼狽いまが去る
あの「ふんわり名人」を生んだ新潟から、また素晴らしいスナック菓子が届きました。届きましたと言っても、なにもわたしあてに届いたわけではありませんが。ことばのあやということで。
「新潟ぬれおかき」。袋の裏面に「あたためると一層おいしく召し上がれます」と書いてあるので、さっそく試してみました。電子レンジでチンするだけだから簡単です。いやー、驚きました。その食感たるや、焼いた切り餅に甘い醤油だれを塗ったのとほとんど変わりません。
「ふんわり名人」にしろ「新潟ぬれおかき」にしろHANAちゃんが教えてくれた「忍者スナックふわ丸 黒胡椒味」にしろ、味はもちろんですが、食感というのが味覚にとっていかに重要な要素であるかを改めて知った今日このごろです。
失言やおいてけぼりの春の宵
祖母の眼が笑っているよ花万朶
サラ・マクラクランの新譜が出ていたのかー、と思って、さっそくインターネットでHMVに注文。そうしたら、しばらく(1ヶ月ぐらい)して、廃盤になりましたのでキャンセルさせてくださいとのメールが入った。そうなると、ますます欲しくなるのが人情というもの。このアルバム、サラが気に入っているミュージシャンの歌をサラが歌っている。
どうにも諦めきれなくて、グーグルであちこち探していたら、外国の稀少なCDやレコードを専門に扱うサイトを見つけ欣喜雀躍、すぐに注文した。1枚しかなかったらしく、注文後検索すると、SOLD OUTになっていた。
一昨日の月曜日、会社に届いた。ウッシッシッシッシ…。ボリュームを低くし、聴いてみた。ん!? なんか変? ボリュームを低くしているせいなのか、とてもサラの声に聞こえない。ん!? ん!?
何曲目かで決定的になった。男の声がした。改めてCDジャケットをよく見てみる。あっ、あっ、あっ!!!
早とちりであった。であった。であった、のであった。どこにもサラが歌っているとは書いていない。縦横に、artist’s choice SARAH MCLACHLAN music that matters to her と書いてある。あ〜〜〜!! そういうことだったのか〜〜〜っ!!!
早とちりもいいとこ、なのであった。トホホホホ…。
だったら、ジャケットにサラの写真なんか使うなよ。映画のDVDに監督の写真を載せるみたいなもんじゃねーか。なんだよ、くっそーーー!! ぜってー、訴えてやるーー!!! あ〜あ。
話すほど不完全なり春の午後
ちろちろと宴の後の花万朶
パソコンやケータイが普及して何が一番変わったかといえば、だれもかれも書くようになったことではないか。正確に言えば、書くというよりも、打つ、押す、だが。
こんなに文を書く時代は、人類始まって以来のことだろう。メールのことを思えば、世界中の人が毎日だれかに手紙を出しているようなものだ。
野口英世の母のただたどしい手紙が有名だが、生涯にたった一通の手紙しか書かなかった人もかつては大勢いたはずだ。
わたしも1日何度かメールする。電話より手っ取り早いことだってあるし、短い言葉でも、より親密度が高い気もする。安心かな〜。安心でもないか。
とにかく、言葉にならぬ前の体というか心というか、言葉以前の状態にとどまっていることが少なくなって、体と心は、通り一遍のユニフォームを着せられているみたいな感じ。自分でつむいでつくった服なのに…。
交番へ尋ねる道の花万朶
あるきたや親しき人と花万朶
三月に入り、そろそろ桜の話題が増えはじめる頃です。この季節になると必ず思い出すことがあります。
大学一年生のとき、親しい仲間と学内の野球大会に出場しました。9人そろえば、だれでも登録できましたし、優勝、準優勝ともなると、すばらしい景品や酒がもらえるということで、喜び勇んで出場。静岡出身のS君がピッチャー。わたしはキャッチャーでした。順当に勝ち進み、一年生チームながら、準優勝してしまいました。
たくさんの景品と日本酒をもらい、桜が満開の公園で飲んで騒いでの大宴会になりました。
酔っ払って、目が覚めると、朝でした。もう、みんな帰っており、残っているのは、わたしとW君でした。ああいう時の気分というのは最悪です。淋しいような、悲しいような、切ないような、侘しいような、みすぼらしいような、泥水の中から現れたどぶネズミのような、およそ、ありとあらゆる否定的な感情が複雑に絡まってあふれてくるようです。W君は、眼鏡がない、眼鏡を落としたと大騒ぎ。二人で公園の端にある交番までとぼとぼと歩きました。
おまわりさんが、開口一番、「どうしたの、その顔!?」。え!? あ!? わたしもW君も二日酔いで頭がボーッとしていて気がつきませんでしたが、お互いに顔を見合わせ、吹き出してしまいました。顔中、煤だらけなのです。騒いで、新聞か何かを燃やし、消した後、その上に突っ伏して眠ったのでしょう。おまわりさんに指摘され、黒い顔が紅く染まりました。「あんまり呑み過ぎないように!」。「はい…」
結局、W君の眼鏡は、わたしたちのグループの唯一の女性であるYさんが持って帰ってくれていました。
覚めてのち腹に虚(うろ)あり花万朶