パナマ帽夕立ばちばち破れ笠
イシバシと久我山幼稚園へ。由緒ある幼稚園で、園児に茶道などを通して日本文化の粋をわかりやすく伝えている。抹茶をご馳走になり、畳のいいにおいを満喫。園のすぐ傍の公園はもと松平の土地だったらしい。
外へ出ると、予報どおりの雨が降っていた。耳元で鳴る雨音を聞きながら歩いていると、どこかへタイムスリップして素浪人にでもなった気がした。

パナマ帽夕立ばちばち破れ笠
イシバシと久我山幼稚園へ。由緒ある幼稚園で、園児に茶道などを通して日本文化の粋をわかりやすく伝えている。抹茶をご馳走になり、畳のいいにおいを満喫。園のすぐ傍の公園はもと松平の土地だったらしい。
外へ出ると、予報どおりの雨が降っていた。耳元で鳴る雨音を聞きながら歩いていると、どこかへタイムスリップして素浪人にでもなった気がした。

出社の折、紅葉坂の交差点で青の信号が点滅し始め、足を速めた。反対側から少年が駆け下りてきた。すばやく振り向き、後ろをついてくる母親を急かした。母は、左手で帽子を押さえ、右手をぎゅっと握り締め、少年に遅れまいと真剣な表情で駆けてくる。短めのTシャツからはみ出たメタボリックな白い腹とりんごの芯みたいなヘソが丸見えであることなど意に介さないようであった。

相模野の学舎ナマ脚行き交へり
というわけで、仕事の打ち合わせで女子大に行ってきました。女子大というのは、なんだかわくわくしますね。緊張します。眼があらぬ方向に泳がぬように注意し、ひたすら前方を直視しながら歩きました。
研究室での先生との話し合いは、いろいろな方向に展開し、見えない糸を感じるようで楽しくもあり、あっという間の2時間半。中身については、もう少しハッキリしてから、報告します。

梅雨すぎて夏一斉の蝉しぐれ
休日、気になっていた靴を磨いた。ホーキンス製のもので、これがピタリとわたしの足に合い、以来、二足ずつ買い換えている。気に入ったとなると、なんでもそうだ。この性格、祖父ゆずりかもしれない。
一度など靴の底に穴が開いたことがある。前や横が剥がれたり破れたりというのはよくあるけれど、底は珍しい。水溜りに入ったわけでもないのに、なぜ、どうしてと、いぶかった。靴底が猫の耳のように薄くなり、透けて見えた。そこからじわりと水が染みてくるのだった。これには驚いた。そこまで穿くかふつう。なんだかその靴がいとおしく感じた。
磨いた靴をひっくり返し改めて確かめてみた。へなへな感は否めないけれど、まだ買い換えるには早い。靴がフィットすると気持ちまでしゃきっとする。

春風社のセカンドステージについて、ああでもないこうでもないとこのごろ考えることが多くなった。それをけっこう楽しんでいる。つちかってきたものを踏まえつつ、などと格好をつけても、結局は、どこか切り落とさなければ、新しいことは始められない。始まらない。切り落とす部位を間違えないことが大事か、とも思う。
まず、あのべろべろ〜とした目録「学問人」をどうするか。出版社にとって何が財産といって、目録に勝るものはない、とはよく耳にすることばだ。既刊アイテムが二百数十点になったことだし、ここはびし〜っと他社に引けを取らぬ目録を作ろう! と、かなり本気で考えた。ところが、先日、編集のクボッキーと都の西北大学へ行き、生協の本コーナーで目録の棚の溢れんばかりの目録の洪水に圧倒され、げんなり、出版社にとっての宝、財産とも言われる「立派な目録」づくりをすっぱりあきらめた。だって、なんだかマンモスの牙みたいなんだもん。コストパフォーマンスが悪過ぎる。じゃ、どうする。ね、どうするの。今、考え中です。
また例のごとく遊びの虫がうずきだし、アバンギャルドかつ実に変な目録のアイディアが浮かんだのだが、社員から却下されそうで、なかなか口に出せないでいる。さて、どうしたものか。

「そうやってると、エリカを挟んでジュンが父親、クミコが母親って感じ」
「ひどいっ。身長のことで言ってるんでしょ」
「ちがうって。だったら、席、かわってみろよ」
「あ。エリカ、いま座高たかくした」
「ほら。身長じゃないって。今度は父親、母親、娘」
「あ〜あ」
「授業ないの?」
「クミのために来たのに…」
「今のなに? 大学生? コスプレ?」
「アレぐらいやって欲しいよな。せめて。エリカ、やれよ」
「また、わたし?」
「あ、どうも。せんせい、今日、行かないんですか?」
「行かない行かない。じゃ」
「失礼します。そう。ミキ先生。モチヅキ遅いなあ」
「どうする?」
「4時10分前にはここを通ると思うんだけど…」
「もう少し待ってみるか」

編集のクボッキーと都の西北の大学へ。生協書店の店長さんから、現場ならではの貴重な話をいろいろうかがった。ここがこうならほかは推して知るべしみたいな話(って、これじゃ、なんの事はわかりませんね)が多く、春風社のセカンド・ステージを睨み、ほかの情報も踏まえながら、これからゆっくり考えたい。
帰りの電車で。吊革につかまりながらぼんやり外の景色に見とれていたら、右の腰の辺りにふんわり柔らかいものが当たった。ちょうど、ソファーに寝転がって文庫本を読むとき枕にするクッションのような、そんな感触。ちょっと生温かさまであって。
ひょいと見ると、メタボリックなおじさんが、一つの吊革を両手で挟み、立ちながら居眠りし、くねくねと体を旋回しているのだった。ときどきシャツから飛び出た腹をぼりぼり掻いたりなどし。微笑ましい姿には違いなかったが、わたしは吊革を一つ移動し、接触を避けることにした。
メタボリックなおじさんは依然気持ち良さそうに旋回を繰り返した。
