飛翔

 

 夜寒し火照った頭を冷ましけり

きのう、野毛方面へ坂を下りていた時のことです。
下から上ってくる初老の女性が、
手を大きく回して何かを振り払いました。
見れば、茶色いものがはらはらと宙を舞い、
道に落ちましたから、
なんだ枯葉か、と思いました。
風に舞う枯葉を
生き物と勘違いしたのかもしれません。
あんな大げさに振り払わなくても…。
女性とすれ違い、
わたしはどんどん下へ歩いていきました。
すると、
車道に落ちていた茶色い枯葉がバッと飛翔し、
頭上を越えて歩道の横の崖に張り付いたではありませんか。
は~!!
枯葉と思ったのは、大型のバッタでした。
それで、あの女性。
感心して見上げていると、
後から来た男性が
「バッタですか?……珍しいですね」
と言い、
わたしと並んでしばし崖を見上げました。
なんだか、うきうきしてきました。

 ビル群がせせら笑ひし夜寒かな

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洋風おでん

 

 くしゃみしてこんちくしょうと罵れり

保土ヶ谷の国道一号線沿いに、
ビストロ・グランブルーがあります。
マスターはわたしの飲み友達でもある渡辺さん。
苦労人で、
料理人としてながく腕をみがき、
昨年、満を持して自分の店をオープンさせました。
流行っています。
仕事柄、外国の料理を食することの多い
高校時代の友人を案内したところ、
こんな美味しいイタリア料理は初めてと、
感激していました。
先月一人で食べに行ったとき、
なにげなく、
寒くなってきたから、
ナベちゃん洋風おでんでもやってよと話したら、
むむ、いいかもしれない、
てことになりました。
一週間ほど経ったこのあいだの日曜日、
渡辺さんからメールが届きました。
「洋風おでんを始めましたのでどうぞ」
さっそく家人と出かけ、味を楽しんできました。
ほかのお客さんもメニューを見、
へー、洋風おでんか、
わたしにも一つ、
なんて所望し、
なんだかこっちまでうれしくなりました。
おでんもそうですが、
渡辺さんの心を込めた料理、
どれも美味しいですよ。
国道一号線沿い、
JR保土ヶ谷駅東口から徒歩2分のところにあります。

 柿の句の解説なせし恩師かな

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読書推進フォーラム秋田2010

 

 がりがりと挽くコーヒーの香り喫む

先月17日秋田で行われた「読書推進フォーラム秋田2010」に、
パネリストの一人として参加しました。
そのときの詳細が「秋田魁新報」に掲載されました。
「魁」は「さきがけ」と読みます。
興奮してしゃべっていたせいか、
ひょっとこみたいな顔になってしまいました。

 江戸の謎神田明神秋深し

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怪しい人

 

 秋深しかさこそ音の舞ひ降りし

きのうの日曜日、
午後から出社し静かに仕掛かりのゲラに向かいました。
どんなに楽しい人、親しい人でも、
人といっしょにいるときと、
独りでいるときとでは心のありようが違います。
そういうことを思うようになったのも、
つづけている禅密気功のおかげかもしれません。
ところで、
我が社が入っているビルの四階には
五〇〇人ほどを収容できるホールがあり、
休日ともなるといろいろな催し物が開かれますが、
きのうはダンスの大会があったようで、
四階のみではなく、
一階から四階まで廊下も階段も
人、人、人でごった返していました。
ダンスと言ってもいろいろですが、
男女ペアで手を握り合い、
互いの口臭を避けるように顔をそむけ
ふんぞり返って踊るスタイルは、
あれは社交ダンスというものでしょうか。
トイレの中で、
相手の女性と組んだ気になり
練習している初老の男性もいました。
夕刻、
外がようやく暗くなり、
部屋の電源をチェックして鍵をかけると、
退出のための警告ブザーが鳴ります。
急いで部屋を出たら、
顔を化粧で塗りたくった駝鳥のようなおばさんが、
「まあ! 怪しい人かと思ったわ」
まあ! 怪しい人かと思ったわ。
ふん。こっちのセリフだわい。
「はははは。怪しい人ではありません」
俺はまた、あなたが駝鳥かと思ったよ。

 ブラジルを淹れて地球をひと廻り

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ウニ

 

 赤と黒セーター欲しき日となりぬ

寿司ネタでウニがめっぽう好きです。
しかし、ウニは傷みやすく、
傷むとドブみたいな臭いと味がするので、
気をつけなければなりません。
と、
いつもそう思って寿司屋のカウンターに座るのですが、
先日、
久しぶりにドブみたいなウニを食してしまいました。
カウンター越しに差し出された瞬間、
あ、やべ!
と思いましたが、後の祭りです。
頼んでおいて箸をつけぬのは偉そうだし、
どうすんべ、
と、ほんの一瞬悩みましたが、
箸で摘まんで、醤油をたっぷり目につけ、
えい! と口に放り込みました。
と、
くっせ~~~!!!
そのままオエーッ!となりそうでした。
なんとか我慢しました。
失敗でした。
後悔先に立たず。くそっ。
家に帰ってオナラをしたら、
家人が、
なんかドブみたいな臭いがすると言って、
顔を歪めました。

 珈琲とくれば神田神保町

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おしっこ

 

 秋の日やコーヒー香し今朝はモカ

先日ここで紹介した漫画
『とうとうロボが来た!!』のなかに、
おしっこの話が出てきます。
便器に向かって男の子がおしっこを始めると、
なぜかおしっこが二つの流れに分かれます。
男の子は焦って、
一つの流れのほうを便器に入れるようにしますが、
そうすると、
もう一つの流れが便器から外れ、
反対に外れているほうの流れを便器に入れると、
今度は、
今まで便器に入っていたほうの流れが外れることになります。
両方の流れを便器に入れようとするのですが、
結局両方便器から外れて、
トイレがべちょべちょおしっこまみれになるという話。
これ、
男の子なら、大人も含め、
誰でも一度は経験しているんじゃないでしょうか?

 珈琲とくれば岩波文庫かな

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まるます家

 

 肌白きネギたっぷりのダダミ汁

きのうここで、
久住昌之原作、谷口ジロー作画『孤独のグルメ』【新装版】
のことを取り上げましたが、
ブックデザインに、
長田年伸くんが関わっていること以外に、
もう一つ驚いたことがあります。
この漫画は、
輸入雑貨の取り引きを生業としている主人公
井之頭五郎が仕事の途中、
土地土地の食べ物屋に入りその店の料理を楽しむ、
簡単に言えば、
そういった内容の漫画です。
その第4章「東京都北区赤羽の鰻丼」。
ん!?
と思ってページを開くと、
スズラン通りに向かう一角が
細密画のように描かれており、
取材して描いていることは一目瞭然です。
なぜそれがわかるかといえば、
わたしは十年そこで働きましたから
忘れることはありません。
さらにページを開いて、
アッと驚きました。
ま、まるます家じゃん!
朝からやっている店で、
メニュー豊富、
朝からアルコールも飲めます。
赤羽時代、何度か通ったというだけでなく、
新しく出版社を起こそうと決めたのが、
まるます屋でした。
まるます屋の二階で、
「よし。出版社を作ろう!」とおだを上げたのです。
春風社という名前はその時まだありません。
こうして漫画に取り上げられてみると、
たしかに変った面白いお店でした。
これを機会に、
久しぶりに行ってみようかな?

 皺皺のダダミ汁より湯気立てり

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