ストレス

 

 空一面放射能のかげろへり

元住吉まで鍼治療に行ってきました。
だいたい月一、たまに二度行くこともあります。
一時間のあいだに四度電話が鳴りました。
先生の対応から、
予約の電話であることが分かります。
おもての鍼を抜き、
「はい。では、うつ伏せになってください」
「はい」
体を裏返して背中に鍼を刺している先生に尋ねると、
三月一一日以降、
ストレスから左半身ががちがちになって来る人が
増えているのだとか。
まず心臓の周囲が緊張し、
それが背中に回って筋肉を硬くするそうです。
「今日はこれくらいでしょうか」
「はい」
療治が終って帰り支度をしていると、
また一人入ってきました。
いつもの高校生かな。
顔は知らない、声だけ知っている療治仲間です。
*
写真は、なるちゃん提供。

 春陰や廊下の端の阿弥陀仏

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今日から四月

 

 万愚節遊びごころの失せにけり

春風社は創業から今年で十二年目ですが、
この間、三七〇点ほどの本を刊行してきました。
ほとんどが学術書ということもあり、
倉庫業者から毎月送られてくる月別の売上表を見るたび、
ため息が出ます。
なんでこんなに売れないんだろう…。
もはや口癖になっています。
その口癖がでない月があります。
それが三月と九月。
なぜか。
教科書シーズンだからです。
いつもは三七〇点ほどの商品につき、
ずらずらーっと、
一桁の数字がこれでもかというぐらいに
(しかも圧倒的にゼロが多い)並ぶのに、
今回は、
二桁、三桁の数字が表を賑わしています。
さて今日から四月。
気を静め、
今日の仕事をしたいと思います。
*
写真は、まるちゃん提供。

 この怒りどこにやらむか春の月

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藤原、お前モカ

 

 さびしさや句を詠むこころを探しをり

平常心を保つため、
とかそんなことではないのですが、
このごろ朝はサイフォンでコーヒーを淹れて飲んでいます。
ブラジル。
ときに贅沢してブルーマウンテン。
せこく上記二つをブレンドしたり。
ところで、モカ・マタリ。
イエメン産のコーヒー豆です。
豆の入った袋にも中黒「・」が付され、
「モカ・マタリ」と印字されています。
が、
しばらくジッと眺めていたら、
モカの「モ」が平仮名の「も」になり、
中黒が飛んで「もカマタリ」に見えてきました。
ん!?
秋田の武塙(たけはな)先生はモカ・マタリがお好きで、
奥様が毎朝淹れていらっしゃる。
先生の姓とモカ・マタリをくっつけるとどうなる!?
(先生、ごめんなさい)
武塙モカ・マタリ。武塙もカマタリ。
萩原さんもモカ・マタリが好きかも知れない。
すると、萩原もカマタリ。
藪原さんもなら、藪原もカマタリ。
あはははは…。
そして、
カマタリと言えば、
なんといっても藤原でしょう。
藤原もカマタリ。藤原も鎌足。「の」でなく「も」。
藤原も鎌足。
このごろ、モカ・マタリの豆を挽いて飲むたび、
「藤原も鎌足」と唱えている自分を発見します。

 ベランダを歩く猫にも春の空

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頑張れ!ふるさと石巻 2

 

ふるさと石巻が大変なことになった。肉親の安否が分からない。河口西側の市民病院は水没。ひばりの海岸に面した南浜町、門脇地区、河口東側の川口町、魚市場や湊地区は津波による壊滅の情報のなかで、避難所の様子がテレビに映った。兄に違いないという知らせ。一週間ほどで肉親家族の無事が何とか確認できた。
地震から16日目の27日未明に石巻に着いた。市内はまるでスクラップ状態だ。これはなんだ! なんとも酷い! 魚市場からその日全国に向けて発送する魚を積んだトラックを出発直前に津波が襲い、膨大な量の魚が一帯に投げ出された。日数が経ってその臭いが強烈な川口町や湊地区では、ところどころに炊き出しに人が集まり、崩れた自分の家から使えるものを拾う人々の姿が見られた。人気の無い倒壊家屋の窓のカーテンが風に煽られバサバサと音を立てた。
この状態から日常を取り戻そうとするふるさとの人々の営みを、身近なところから写真に収めたい。(2011.3.29 橋本照嵩)

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頑張れ!ふるさと石巻 1

 

春風社から写真集『北上川』を出したカメラマンの橋本照嵩さんは宮城県石巻市ご出身です。今回の東日本大震災では大きな被害を受けました。
橋本さんは26日、27日の二日間、知人の車に同乗させてもらい、石巻に入り、惨状を目の当たりにしてきました。『北上川』に写っていたふるさとが見る影もありません。メガネを二重に掛けた橋本さんのお兄様の表情は、はぐれてしまった三つ子のそれです。「ぼこちゃん」の愛称で親しまれている弟様ご夫婦が営む橋本さんのご実家「横浜屋」の前は瓦礫の山です。「ぼこちゃんのお兄さんですか。ぼこちゃんに似てますね」と、近くにいた人から声を掛けられたそうです。
橋本さんは、これから定期的に石巻に帰り、ふるさとの人々が立ち上がっていく姿を写真に撮りたいと語ってくれました。そのつど、ここで紹介したいと思います。

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夢

・自転車を漕いで遠くへ春休み

前に勤めていた会社の社長と専務とわたしが、
一つ車に乗っています。
運転しているのが誰かは分かりません。
見慣れた風景が流れていきます。
同僚のUさんが前をゆっくり歩いています。
なぜこんなところにUさんが。
Uさん…。
Uさんは、大きく蛇行し、
わたしたちが乗った車に接触しそうになりました。
運転手がブレーキをかけます。
Uさんは右腕を大きく振り上げ、
盛んに指を差しています。
指差す方向を見やると、
二階建ての立派な屋敷の屋根の上に人がいて、
こちらに背を向けたまま腰をかがめ、
電気にでも触れたように、
ブルブルブルブル震えています。
異様な光景です。
次の瞬間、
屋根の上の人はスローモーションで、
ゆっくり腰を伸ばしたかと思いきや、
屋根の端からそのまま下へ落ちました。
落ちてゆくとき顔が見えた気がしました。
それはまがいもなく、Uさんでした。
Uさんは、
屋根の上の人がUさん本人であることを知っていたのでしょうか。
それはともかく、
Uさんは、
屋根から地に叩きつけられたUさんを抱き起こし、
鞄の中から録音機材を取り出し、
真っ青な顔のUさんにマイクを向け、
インタビューを始めています。
わたしは、
運転手のことが気になり始めています。
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写真は、なるちゃん提供。

・無くて好し有るもまた好し春休み

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スーパーブラック

 

 春なれば花粉一つも散らせたい

外を歩いていて大きなくしゃみが二度、三度、
部屋に入ってまたくしゃみ。
これは、いよいよもって花粉症か?
少し不安になりました。
でも、心のどこかで、
いや、俺はぜったい花粉症にならないと思っています。
ぐずぐずする鼻を鏡に映し、
さらに鏡に近づき中までよく見てみたら、
案の定、
きしめんを彷彿とさせる立派な、
黒々した鼻毛が中でとぐろを巻いていました。
親指と人差し指で摘まんで抜くと涙が出ました。
すぐに捨てるのはもったいないので、
洗面台に鼻毛を置きしばらくジッと眺めます。
スーパーブラックな輝きを放っています。
ふむ。
それから水道の蛇口をひねりました。
根が生えたように頑固に張り付き、
なかなか流れていきません。
指でこそげ落としたら、
やっと流れていきました。

 我もまた花粉症かと鼻毛かな

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