・自転車を漕いで遠くへ春休み

前に勤めていた会社の社長と専務とわたしが、
一つ車に乗っています。
運転しているのが誰かは分かりません。
見慣れた風景が流れていきます。
同僚のUさんが前をゆっくり歩いています。
なぜこんなところにUさんが。
Uさん…。
Uさんは、大きく蛇行し、
わたしたちが乗った車に接触しそうになりました。
運転手がブレーキをかけます。
Uさんは右腕を大きく振り上げ、
盛んに指を差しています。
指差す方向を見やると、
二階建ての立派な屋敷の屋根の上に人がいて、
こちらに背を向けたまま腰をかがめ、
電気にでも触れたように、
ブルブルブルブル震えています。
異様な光景です。
次の瞬間、
屋根の上の人はスローモーションで、
ゆっくり腰を伸ばしたかと思いきや、
屋根の端からそのまま下へ落ちました。
落ちてゆくとき顔が見えた気がしました。
それはまがいもなく、Uさんでした。
Uさんは、
屋根の上の人がUさん本人であることを知っていたのでしょうか。
それはともかく、
Uさんは、
屋根から地に叩きつけられたUさんを抱き起こし、
鞄の中から録音機材を取り出し、
真っ青な顔のUさんにマイクを向け、
インタビューを始めています。
わたしは、
運転手のことが気になり始めています。

写真は、なるちゃん提供。

・無くて好し有るもまた好し春休み

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