こころの揺れ

 

 ホッカイロヒートテックを手放せぬ

正月四日、
ふるさと秋田県井川町井内で講演を行いました。
井内町内の老人クラブ主催によるものです。
テーマは、
「井内が生んだ秋田の偉人・武塙三山」
昨年九月の井川中学校改築落成記念を兼ねた講演会の
講師を務めた際に、
三山の生誕地である井内で講演してもらえないかと頼まれ、
喜んで引き受けたのですが、
教師時代も含め、
人様の前で話してあんなに楽しかったことは、
それほど多くなく、
ほんとうに楽しい有意義な時間でした。
文字では分からない、
生きて働いているもろもろが、
ふるさとの言葉と顔と笑いから
直に伝わってきて、
こころと体が震える体験でした。
「ふるさとは遠きにありて~」と
有難きふるさとのはざまで揺れる
三山のこころの揺れに焦点をしぼり話しましたが、
話しながら、
魯迅の「掙扎(そうさつ)」を想い、
秋田出身の劇作家・青江舜二郎のことを考えていました。
当日、青江のご子息で、
春風社から評伝『龍の星霜 異端の劇作家 青江舜二郎』
を上梓している大嶋拓さんが
同行してくださったのも幸いでした。
講演会の模様を秋田魁新報社の佐藤辰さんが
すぐに記事にしてくださり、
それが八日の新聞に掲載されましたので、
リンクを張っておきます。こちらです。
*
昨日、神奈川新聞に作家の山崎洋子さんと、
近著『横浜の時を旅する ホテルニューグランドの魔法』
が大きく取り上げられました。
こちらです。
「事実は小説よりも奇なり」のことわざが思い浮かぶ
エピソード満載の本書について触れられています。
横浜を中心に絶賛発売中!
ぜひ手にとって読んでみてください。
*
今度の日曜日(十五日)、朝日新聞に
『乱歩彷徨 なぜ読み継がれるのか』の書評が掲載されます。
書評してくださるのは、美術家の横尾忠則さん。
楽しみです。

 寒風や顔が微笑み固まりぬ

年賀状

 

 雪山のその形の懐かしき

きのうが仕事始めでしたが、
楽しみなのは年賀状です。
厚さ十センチほどの束から一枚一枚めくって、
短い言葉を読み、
味わっていきます。
よく言われるように、
印刷されたものより手書きのもののほうが
スッと体に入ってきますが、
よく練られた一篇のエッセイのような
印刷の賀状もあります。
束がなくなったら、
もう一度初めから読み直します。
どんな心境でこの葉書を書かれたのか想像しながら。
メールとはやはりちがうようです。
盛る思いの量がちがうのかな。
ともかく、
三か月はデクレシェンドしつつ
人も言葉もこころに残ります。

 バタ雪や色を包みて降りしきる

俺の名前を

 

 駅伝の選手ら街を通過せり

みなさま、
あけましておめでとうございます。
弊社は本日が仕事始めです。
本年もよろしくお願い申し上げます。
*
正月の疲れを取るべく、
元住吉にある鍼灸治療院へ行ってきました。
月に二度、
用事がある場合でも最低一度は足を運びます。
一時間の治療を終え、
各駅停車の電車に乗車し菊名で乗り換えます。
菊名といえば、
条件反射のように「俺の名前を菊名か」
のダジャレが口をついて出ます。
特急電車がホームに滑り込み乗り換えるや、
白髪の老夫婦が後から乗ってきました。
すると、
おじいさんのほうがやにわに
「俺の名前を菊名か…」と言いました。
ハッとして、
つい、おじいさんを見てしまいました。
おばあさんは何も言わず、
微苦笑をしただけで、
あとは外を眺めています。
これまで何度も聞いてきたセリフなのかもしれません。
わたしは深く反省し、
なるべく言わないようにしようと思いました。
*
写真は、くみちゃん提供。

 ドカ雪に時を盗まれ夢の中

無人電車

 

 行く年の悲喜の算盤弾きたり

昨日、午後六時過ぎに会社を出、
てくてくと坂を下り、
桜木町駅に着いたのが六時半ごろ。
スイカをパン!
改札を通りよたよた階段を上っていたら、
ジリリリとベルが鳴って
四番線ホームからちょうど電車が出たところでした。
急ぐ道でなし、
四番線が駄目なら三番線と、
停車している八王子行きの電車に足を踏み入れたら、
すっからかんとだ~れもいません。
下の通り。
ね。
田舎の電車ならいざ知らず、
大都会横浜を走る電車とはとても思えません。
シートに横になろうと一瞬思いましたが、
不審者に見られてもなんですから、
それはさすがに止めました。
さて、
弊社は今日が仕事納め。
仕事始めは一月十日。
どちら様もどうぞ良いお年をお迎えください。

 髪無くば髭で寒さを凌ぎたり

仕事納め

 

 年の瀬や取り残されし心地せり

きのうが仕事納めの職場が多かったのではないでしょうか。
が、われわれ、
明日三十日まで仕事します。
凄い!(それほどでも)
十二期目の我が社は、
過去最高の売り上げを達成しましたが、
社員がそれぞれの場所で工夫し、
自発したことが原因であると見ています。
意識よりも無意識、
計算よりも欲情をふくらし粉にして、
来る年も楽しんで仕事をしたい。
そのためのギアチェンジ、
シフトチェンジの時機に差し掛かったようです。

 禿頭ら御用納めの怪気炎

朝のコーヒー

 

 思考まで堂々巡りの寒さかな

腰に毛布を巻いてこの日記を書き終えたら、
まず朝風呂に入ります。
それから薬缶でお湯を沸かし、
ミルでコーヒー豆を挽きます。
ガリガリ挽いていると、
ピョンと豆のかけらが飛び出したりしていましたが、
弟から教わった、
ティッシュに穴を開け蓋をする方式に変えてから、
豆が飛び出さなくなりました。
サイフォンにフィルターをセットするころ、
お湯もチンチン鳴り出します。
アルコールランプをセットし、ライターでシュッ!
熱せられたお湯がコーヒー粉を持ち上げます。
竹箆でゆっくり左に二回、
右に三回かき回し、
ケータイのストップウォッチを作動させ、
待つこと一分十秒。
ランプをずらしすばやく蓋をします。
透き通ったコーヒーがぽとぽととフラスコに落ちてきます。
いい香りが部屋に充ち。
外はまだ薄暗く。
ジョゼフ・コーネルの伝記を手に取り、
淹れたてのコーヒーをすすります。
ということを、
これからする予定。

 ホッカイロしていたことを忘れをり

乱歩みらいの横浜の時

 

 歯科医にて女子に歯磨き指導さる

年末、立て続けに三冊の本を出しました。
ほかも出しましたが、
学術書の多い弊社としては三冊とも珍しく一般書です。
『乱歩彷徨』『みらいのゆくすえ』
『横浜の時を旅する ホテル ニューグランドの魔法』
おかげさまで、どれも評判がよく、
営業のOさんは、
横浜の本屋さんの認知度が急に高まり、
訪ねていったときの反応が全然ちがうと喜んでいます。
さて、来年。
この魔法がとけないうちに、
みらいを見すえ、
遊びごころを大切にしながら彷徨を続けていく所存。
おもしろくなってきました。

 腰に当ていざ出陣のホッカイロ