キャラメルクラシック

 

・児に戻るコンビニ前の西瓜かな

ハーゲンダッツのクリスピーサンド『キャラメルクラシック』、
わたくしこのごろこれに嵌っております。
本年六月九日新発売。
ニュースリリースによれば、
「甘さと苦みのバランスが絶妙なキャラメルアイスクリームに、
ビターでキレのあるキャラメルコーティングを組み合わせ、
サクサクッとしたウエハースでサンドしたアイスクリーム」
というわけでありまして、
ほとんど発売と同時にわたしの口中に入り、
以来しばしば、
一日の疲れを癒す好物となり現在に至っています。
昨日、
写真家にして畏友の橋本照嵩さんに
『キャラメルクラシック』を紹介、説明し、
二つ買って一個を橋本さんに。
橋本さん、
大胆に一口サクッと。
「ん!」
「ん?」
「うまいっ!」
「でしょ!」
いやぁ、
ほんとに美味いんだなこれが。
ただ一つ問題がありまして、
それは、
ウエハースがあまりにサクサクッとしており、
気をつけないと、
ノドチンコに
ウエハースの破片が貼りつき噎せること。
ふつうにゆっくり食べる分には問題ありません。
発売になって最初食べたとき、
あまりの美味しさに
夢中になり過ぎたのがいけませんでした。
それぐらい美味い!!

・買い食いはハーゲンダッツのアイスかな  野衾

歯磨きセット

 

・倫子見て倫理揺るがず夏日かな

弊社の専務イシバシが本を出します。
A5判上製150ページのエッセイ集、
定価1300円(本体)。
南伸坊さんが可愛い装丁をしてくださいました。
心理学者、精神分析学者の岸田秀さんが
推薦文を寄せてくださいました。
タイトルは『人生の請求書』。
請求書書きが趣味のイシバシにこれほど相応しいタイトルはない。
さて、きのうのことです。
午前10時に神奈川新聞社文化部の方が、
イシバシを取材にきてくれることになっていました。
前の会社から数えて、
わたしはイシバシと四半世紀のつきあい。
イシバシ決して口には出さねど、
インタビューを受けるということで、
相当緊張しているなとは思っておりました。
朝、出社すると
案の定、
イシバシ自分の机に向かい
ちょこなんと鎮座ましましていた。
ふむ。
だいぶ緊張しておるな。
約束の時刻に神奈川新聞社の方がお見えになり、
イシバシと木のテーブルに向き合い、
インタビュー開始。
前さばきでわたしがイシバシを紹介し、
あとは本人にまかせた。
顔写真を撮られ、インタビューは無事終了。
昼となり、
イシバシと食事に向かった。
道道、彼女が話すことには、
朝、万が一電車が遅れては約束の時間に間に合わぬと思い、
相当早くに千葉の自宅を出た。
ふだんの日とリズムが違うせいか、
なんか変だ、なんか変だ、なんか変だと感じながら…。
イシバシ、ハッと気づく。
歯ぁ磨いてねーっ!!
途中のコンビニで歯磨きセットを購入。
やがて会社に到着、
自慢の白い歯を念入りに磨く。
白い歯っていいな~♪
準備万端、人生初のインタビューに臨んだのであった。

・夏風邪の体温ほどの気温かな  野衾

かくしごと

 

・我が胸は台風行くも荒れ模様

ないものねだりは やめにして
かんがえてもむだなことは すておいて でも
よをはかなむなんて よしな
くよくよするのも にあわない
しぬことよりも すこしは
ましなことをかんがえよ たとえばだけど
しをよめ よんだら しをかけ
よこしまな おもいとうさは どぶにすてて

……………

試しに作ってみました。
アクロスティックというそうです。
日本語では、折句。
なんか楽しい!

・源氏読む日々の車中の野分かな  野衾

母の誕生日

 

・台風で帽子吹っ飛ぶ真昼どき

きのうは母の誕生日でした。
母の誕生日は
奇しくも弟の誕生日でもあるので、
記念日が重なり、
したがって
物忘れのひどいわたしなのに、
今のところ忘却の危険を免れています。
朝、母に電話を入れました。
ぷるるー、ぷるるーと何度かの呼び出し音が鳴りまして、
やがて、かちゃ。
電話に出たのは母でした。
だいたい母が出るのです。
気恥ずかしさを堪え、
「誕生日おめでとう」と告げるや、
電話口の声が急に明るくなり、
まるで恋人から
プレゼントでももらったときのように、
はしゃいでいるのが
こちらに伝わってきます。
そんなに喜んでもらえるか…。
ありがたいことです。
きのうは仕事で遠出しましたが、
一日気持ちよく過ごせたのは、
訪問した装丁家の方の仕事ぶりに
感動したことが大きな理由ですが、
朝の電話一本も
少なからずそのことに与っていたと思われます。

・天気図にひねくれ蛇の野分かな  野衾

加山雄三の存在感

 

・台風の報せ暗躍するは誰ぞ

きのうテレビを点けたら、
加山雄三が出ていました。
昨年十月に亡くなった作詞家・岩谷時子さんとの
コンビで作った歌についての話が主でしたが、
その語り口調が淡々としており、
聞いていて実に気持ちいいものでした。
加山雄三といえば、
『君といつまでも』の加山雄三で、
なんだかニヤケているなぁと思ったものでした。
「幸せだなァ 僕は君といる時が一番幸せなんだ 僕は死ぬまで君を離さないぞ、
いいだろ」のセリフのところは、
けっ! どうぞご勝手に、
いくらセリフでも、
よくそういうことをへらへら照れずに言えるなぁと、
見ているこっちが赤くなった。
ということで、
悪い印象はありませんでしたが、
それほどいい印象もなく、
ああ、出ているなあぐらいなもの。
ん! と、身を乗り出したのは、
成瀬巳喜男監督の映画『乱れる』。
高峰秀子との共演で、
高峰秀子が好きで
高峰秀子を見たくて観たのでしたが、
そのときの加山雄三がとてもよかった。
義姉を思いやる弟の気持ちが痛いほど伝わってきた。
それからです加山雄三がテレビに出ていると、
好ましく見るようになったのは。
きのうの番組で、
今年記念すべきコンサートが催されることを、
司会進行役の武田鉄矢が
加山の年齢を告げずに紹介すると、
「いいんだよ言って。喜寿でめでたいんだから。七十七歳の祝いさ」と。
これまた堂々として格好よかった。

・そろそろだ竜頭蛇尾となれ台風  野衾

また青さ

 

・じりじりと大型台風接近す

先日、「鷗」というタイトルの詩を書きまして、
そのなかに、
「いのちの滴の 青さ 甘さ また苦さ」
という一行を入れました。
それは、
書き始めの始めから
ひょいとでてきて
書きとめたものでしたが、
言葉の調子というかリズムというか、
なんか知ってるぞ、
どこかで見ている口にしている、
なんだろう?なんだろう?と思ったら、
宮沢賢治の有名な
「春と修羅」の一節「いかりのにがさまた青さ」でした。
そうだったか!
驚きました。
若いときは賢治が好きで、
文庫本で飽き足らず、
校本全集まで買って読み、
教師を辞めるとき先輩教師に買ってもらい、
東京の出版社に入って
生活が少し安定してきてから、
先輩に頭を下げ以前買ってもらった全集を
買い戻したそれぐらい好きでしたが、
このごろとんと読まなくなっていた。
ところが、
体が記憶していたとでもいうのか、
「いかりの~」のフレーズが不意に口をついて出た。
不思議な気もしたけれど、
案外そういうものかもしれないと思い、
賢治にぐっと、
言葉を通してですが
近づいた気さえしました。
「いのちの滴の 青さ 甘さ また苦さ」
の行は、
目で見、口で味わい、精神においてのことではありましたが、
賢治の詩のイメージが
体が記憶しているほどあまりに強すぎ、
気持ちに引っかかるものがあり、
「いのちの滴 かけがえのない」とし、
あわせ、
前と後ろの行を変えました。

・まま行けよなんで曲がるの台風よ  野衾

人生処方詩集

 

・なつかしき雲立つ夏のいたさかな

E・ケストナー・小松太郎訳『人生処方詩集』。
おもしろいタイトルの詩集だなあと思って
買ったのだったかもしれません。
ちくま文庫に入っています。
奥付をみると、
一九八八年十月二十五日第一刷発行になっており、
その対向ページに
一九八八年十二月七日了となっていますから、
文庫がでてすぐに読んだものと思われます。
もともとは
一九五二年に創元社から刊行されました。
寺山修司がこの本に触れているのをどこかで目にし、
それで文庫になったとき、
すぐに買ったのじゃなかったか
とも思いますが、
記憶なので定かではありません。
さてこの詩集、
曰くつきのものでありまして、
どういうことかといえば、
作者ケストナーが書いた四冊の詩集は、
ナチス政権下で焚書に附され
絶版になっていたところ、
四冊の詩集のアンソロジーというかたちで二冊、
国外で出版されました。
焼かれた詩集に入っていた詩のほとんどは、
二冊の詩集に拾われたそうです。
そのうちの一冊が『人生処方詩集』。
そんなことが訳者「あとがき」に書かれてあります。
この本、
ふつうの本のように、
ふつうに目次がありますが、
目次のほかに、
「用法」という、
いわば索引がありまして、
「年齢が悲しくなったら」「貧乏に逢ったら」「知ったかぶりをするやつがいたら」
などとなっており、
これがいわば人生の苦の処方箋というわけなのでしょう。
「生活に疲れたら」の項目には、
例えばこんな詩が分類収録されています。

臆せず悲しめ

悲しいときには 悲しめ!
のべつ 君の霊魂の見張をするな!
君の だいじな命に
かかわることもあるまい

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・幾度の入道雲の青さかな  野衾