ブッダのことば

 

・石畳黄落の音なかりけり

「犀の角のようにただ独り歩め」で有名な
『ブッダのことば スッタニパータ』(中村元訳、岩波文庫)ですが、
その944番は、
「古いものを喜んではならない。
また新しいものに魅惑されてはならない。
滅びゆくものを悲しんではならない。
牽引する者(妄執)にとらわれてはならない」
仏教教団が成立する前のブッダの言葉は、
すっきりしていて
実に分かりやすいのですが、
驚くのは、
この言葉についての中村の注。
「すべては移り行くということの認識にもとづいて、
現実に即した柔軟性に富んだ実践倫理が成立するのである。
人生の指針として、こんなすばらしいことばがまたとあるだろうか!」
注に感嘆符が用いられているところに、
なみなみならぬ中村元の感動があふれているようです。
さらにつづく文章もすばらしく、
全文引用したいぐらい。
ですが、
23行もあるので止めにします。
こういう基本的な学術的翻訳書にこめられた訳者の
感動に感動します。

・草の花名を知らぬ吾れ立ちんぼう  野衾

肩こり頭痛

 

・固き路凩坂をまろびゆく

風邪だったかもしれません。
先週末、
背中から肩にかけ凝りがひどく、
揉んだり気功をしても
なかなか治らず、
やがて首が硬くなり、
とうとう後頭部まで痛くなりまして。
ズキンズキンと。
いやあ、
まいったまいった。
風邪は寝るのが一番と、
暖かくしてひたすら寝たらだんだんよくなりました。
それにしても、
あんなに眠れるもんですかね。
もちろん途中何度か
目を覚ましたのですが、
合わせれば、
八時間、十時間、
十二時間も眠りましたか。
風邪にもいろいろ種類があるようです。
風邪の季節、
みなさん気を付けましょう!
そんでもって、
風邪をひいたら休みましょう!

・足許に落ちて葉ふたつ並びけり  野衾

セロファン俳句

 

・朝寒の夢で湯に入る二度寝かな

阿部筲人(あべ・しょうじん)『俳句 四合目からの出発』は、
あの辛口文芸評論家谷沢永一が絶賛したほどの
いたって真面目な俳論書なのですが、
真面目なだけに、
かえって笑える箇所が少なくなく、
たとえばこんなの。

○軽羅の衣風に恥骨の際立てり

という例句を引用した後、
(この例句自体、もう笑える。
「軽羅の衣」は「けいらのい」
あるいは「けいらのきぬ」と読ませるのか)
阿部筲人いわく、
「薄地の、多分洋装でしょう、ま向かいからの風に、腿にぴったり貼りついて、
おそその辺がぷっくりふくらんだと、一応写実風に描きますが、
作者はつまらぬ所に目をつけたことが明らさまです。
言い方はドライで、気分的には、必ずしもわい雑下劣ではありませんが、
興味の中心が浅い所に止まりました」
こういう句を称して、
セロファン俳句。
そのこころは?
薄っぺらで透明スカスカ。
あはははは…
わたしが言うんじゃありません。
阿部筲人がそう言うんです。

・北風や慢心するなの声を聴き  野衾

シドニー・ベシェ

 

・百数ふれば佳きことありや冬木立

きのう帰ってき、
CDの棚を見ていましたら、
シドニー・ベシェが目につき、
そうか、
このごろとんと聴いていなかったな、
というわけで
シドニー・ベシェ。
あのプワ~ン、ホワ~ンとした音をどう表現
したらいいのでしょうか。
耳に心地いい音を楽しみながら
晩ご飯を食べていて、
つい、
「あ!」
っと口から洩れました。
ななんと、
「吉田類の酒場放浪記」の曲ではありませんか。

酒場という聖地へ、
酒を求め、
肴を求めさまよう…

のナレーションが入るときの
まったりもったり
耳について離れない懐かしいあの曲、
あれだあれだ間違いない、
そうか、
あれはシドニー・ベシェの曲だったのか。
ほんと、
たしかにプワ~ン、ホワ~ンで
まったりだ。

・石垣をふたつ飛ばしの落ち葉かな  野衾

箱入り息子の恋

 

・秋日和ガネーシャの鼻伸び二寸

床に入ってうつらうつらしていましたら、
家人は起きていてテレビを。
仰向けになったまま、
音だけ耳に入っていたのですが、
なにやら面白そうで
ついむっくり起きだし
最後まで。
作品に力があっての賜物。
平泉成、森山良子、大杉漣、黒木瞳と、
脇をそうそうたる役者で固め、
星野源が熱演、
笑わせてもらいました。
それにしても、夏帆さん、
夏帆ちゃん、
顔は知っていましたが、
こういう芝居をする人だったんですねえ。
かわいい!
やられちゃいました。

・秋日和釣り道具手に遠出かな  野衾

ああ勘違い

 

・ビルの肩払ひて上る宵の月

いつものように朝四時に起き出し
まず用を足し、
それからいそいそと
洗面台の鏡に向かい歯を磨き、
ひょいと
右横の時計を見ましたら、
二時半。
一時間半のズレ。
さて寝床に戻って寝直すか。
いや、五時間半寝たから良しとするか。
とりあえず、
眠くなるかならぬか、
眠くなるまで起きててみよう。

・蕎麦でいい否蕎麦がいい秋日和  野衾

矢萩英雄木版画展

 

・秋晴れや洗濯物と野良の猫

画家・装丁家の矢萩多聞さんのご父君・
矢萩英雄さんの木版画展を見にギャラリーこやまへ。
ヒデさん(いつもそう呼んでいます)
このごろ
ガネーシャ
(ヒンドゥー教の神様で、太鼓腹と象の頭部が目立つ)
に凝っていると
本人から聞いていたので、
近所のまるちゃん、
家人を誘い、
三人で出かけました。
わたしは前にも行ったことがありますが、
小さいギャラリーながら、
アットホームな、
居心地のいいスペース。
久しぶりにヒデさんと話もでき、
気に入った版画を購入。
まるちゃんは二点。
ギャラリーこやまは、
東横線綱島駅東口下車、徒歩1分。
おもしろいですよ。

・秋日和家人ぼりぼりポテチ食ぶ  野衾