思えば遠くに

 

・地下道を抜けて立教冬の空

仕事の打ち合わせのために、
池袋にある立教大学へ。
事前にパソコンで調べてはきたものの、
どうも心もとない。
駅の案内嬢に尋ねると、
パソコンで調べてきたのとおんなじ答え。
そうですか。はい。はい。ありがとうございます。
地下道をずっと進んでCの3番出口ね。
進んでCの3と。
よしよし。
お。
あれか。
というわけで、
正しく歩いていたのですが、
ふと見れば有料トイレ。
時間もあるし、
ゆっくり用を足してから行っても間に合う。
回れ右!
十メートルほど戻り、
ドアの前に立つ。
百円。
スイカを所定の盤にタッチ。
ウィ~~~ン(ドアの開く音)
おおお! なんときれいなトイレ!
ゆっくり静かに用を足しながら、
海援隊の歌にある
「思えば遠くへ来たもんだ」
を思い出しました。
秋田の田舎でも、
立ち小便をする人を
このごろはとんと見かけなくなりましたが、
むかしは外へ出たら立小便が
いたって普通。
池袋の地下道で
もし立小便をしようものなら、
間違いなく捕まるでしょう。
一小便百円。
水も空気も買う時代です。

・ベランダに空から来たる落ち葉かな  野衾

からだ精密

 

・冬枯れや風に吹かるる古新聞

このところ肩こり、首こり、頭痛がひどく、
おかしいな、おかしいな、
と、
ぶつぶつつぶやきつつ、
湯に浸かり
首をもんだり、
肩をマッサージしたり、
このごろご無沙汰していた気功を
再度やったりしていましたが、
どうもイマイチ。
待てよ、
眼精疲労で視神経が痛み、
それが肩や首の神経にまで影響しているのか知らん?
職業病か?
などなど悶々と。
と。
いや待てよ。
ふと、
鍼灸の先生がカーテン越しの隣のおばあちゃんに
話していた言葉を思い出した。
「だめですよ毎朝りんご一個だなんて。糖分摂りすぎ! 肩凝るはずです」
そうか。
そうだったか。
痛風発作をきっかけに、
しばらくアルコールを断っていることが功を奏し、
足の親指の付け根も膝も全く問題はありません。
が、
振り返ってみれば、
アルコール類を飲まぬ代わりに、
ジュース類の摂取量が確実に増えました。
これだ~~~!!
果物を食べる量も増えたし。
自分のからだのことながら、
今の今まで気づかなかったとは。
いやはや。
からだは精密。
恐れ入りました。
そう気づいてジュース類を控えたら、
痛みが取れた。

・保土ヶ谷や落ち葉降りしく江戸の宿  野衾

春風フォトストーリー

 

・北風の匂ひありけり桜木町

ホームページのヘッダー
「shumpu photo story by 橋本照嵩」
が
冬バージョンに替わりました。
パソコンキーボードのF5キーを押すと、
乱数表により
写真がくるくる変わります。
昭和時代の冬の景色、暮らしぶりが
鮮やかによみがえります。
ながらくご好評をいただいたフォトストーリー、
ホームページのリニューアルにあわせ、
今回が最後となります。
どうぞお楽しみください。

・冬空を飛び去る鳶の小さき哉  野衾

さびさび

 

・落ち葉して半分坊主の銀杏かな

さすがに寒くなりました。
わたしの故郷秋田では、
寒いことを「さび」と言います。
「さむい」と言ってもあまり寒い感じがしませんが、
「さび」と言った途端、
背筋までゾクゾクッとするから不思議。
ところで、
このところ私ホッカイロを手放せません。
今は貼るタイプのものあり、
貼らずにポケットに入れるものあり、
サイズも色々ですから
重宝しています。
会社はもちろん暖房が入っているのですが、
わたしの場所は窓際で、
しかも大きな窓ですから、
冷えるとなると、
しんしんと冷えてきまして、
そういうときは、
机の引き出しにある
ホッカイロ貼らないタイプのもの
をズボンのポケットに入れ
暖をとります。
それはともかく、
年末に帰る秋田は寒いんだろうなぁ。
う~、さびさび!

・校庭に子らひとりなし小春かな  野衾

音立てて

 

・柿齧りガリリと硬き柿の種

一時間は一時間、
一日は一日、
同じ一時間、一日なのに、
十二月に入った
と思いきや、
スイッチが切り替わるみたいに、
くるりくるりと日は進み。

○音立てて日めくり勝手に剥がれゆく

みたいな。
気持ちの持ちようなんでしょうが、
不思議。
きょうはアレとコレを忘れずにしよう!
と、
こころに念じて出かけないと、
アッという間の午後四時
でありまして。
いやはや。
きょうはアレとアレを。

・黄落や野外舞台のごとく在り  野衾

とろろ汁

 

・一日の疲れ一日とろろ汁

ある方から自然薯をいただきましたので、
家に帰ってさっそくとろろ汁を。
まず、
煮干し、昆布、牛蒡でダシをとり、
味噌を入れ
少し濃いめの味噌汁を作ります。
それから、
適当なところで折り、
水洗いした自然薯をすり鉢で
ひたすらすり下ろします。
すぐに粘ついてきてなかなか捗りません。
すり終えたら、
冷ましたみそ汁の上澄みの方から、
汁を濁さぬように気を付け、
すり鉢の縁に垂らして流し入れ丁寧に混ぜ合わせます。
混ぜた汁をお玉で掬い、
たまった汁に落とし
トポ~~~ンと、
いい感じの音がしたら出来上がり!
食べたいものがあることは
ありがたく、
それを頂けるというのは、
代えがたくしあわせ。

・刻み葱と梅干し外せぬとろろ汁  野衾

気晴らし

 

・雨上がり冬日居座る水たまり

気分がすぐれないので、
散髪しに床屋へ向かいました。
電気バリカンで頭蓋を総ざらいし、
あとは、
もみあげのところを
剃刀でちょこちょこっとやるだけですから、
二十分弱で終り。
1200円也。
さて、
食欲はないけれど、
何か食べたいものでもあるかと
駅前のスーパーへ。
完熟パイナップルのカットが美味しそう
だったので籠に入れ。
きょろきょろしながら今度は魚のコーナーへ。
鰈の新しいのを
店員が運んできましたから、
さっそく一パック購入。
煮魚には薬味の生姜を忘れずに。
ネットショッピングは便利ではありますが、
こういう楽しさはまた格別。
ドラッグストアにも寄ってみるか。
何か必要なものを
思い出すかもしれません。

・野ざらしや川のうへ行く寒烏  野衾