・世迷いを直に劈く冬の月
コンプレックスというほどではありませんが、
字が下手、
どう足掻いても。
個性的といえば、
いえなくもないのでしょうけれど、
そんなこと言ったら、
あらゆることが
個性的で済ませられますから、
わたしとしては、
個性的でなくてもいいから、
ふつうにきれいな字を書きたい。
だからと言って、
ペン習字を習うのは、
今更の感無きにしも非ずで。
とこう思いながら賀状を書いていて、
不細工な字でも、
それなりに落ち着いてきたかな
と思えるころには枚数が尽き。
毎年そんな感じ。
さて弊社は、
明日より2017年1月9日まで休業いたします。
よろしくお願いいたします。
今年一年、
どうもありがとうございました。
来年も引きつづきご愛顧を賜りたく。
皆さま、
どうぞよいお年をお迎えくださいませ。
・数え日の空に烏が一羽二羽 野衾
・精神一到若き祖父あり寒の川
九十八で亡くなったわたしの祖父は、
若いころそうとう無鉄砲をやったらしく、
二の腕には「大力」
と小さく刺青がしてありました。
それについては、
若き日の過ちであったと
反省している風もありましたが、
無鉄砲をすべて反省しているわけではなく、
むしろ自慢することも間々ありました。
そのうちの一つ。
わたしのふるさとは井川町
といいますが、
名前が示すとおり、
井川という小河川が町を貫いています。
若き日の祖父は、
井川の表面が氷に覆われた冬の日、
「もし、氷を割って寒中水泳を断行すれば酒一升おごってくれるか?」
と悪友に問いかけた。
「よし、いいだろう。一升やるよ」
即、契約成立。
そこには、
蛮勇をふるって氷を割り、
寒中水泳を蛮行する若き祖父がいた。
わたしは、
そのことを祖父から
何十遍聞かされたか分かりません。
祖父がかんらかんらと
笑いながら楽しそうに話す話を、
「またあれか」
と思いつつ、
聞きあきることはありませんでした。
祖父にとって、
痛快この上ない出来事であり、
思い出だったのでしょう。
・恋よりも友が秘鑰のクリスマス 野衾






