酒を止めたら

 

・黄葉(もみぢ)して白帽の子ら空の下

痛風発作をきっかけに
しばらくアルコール類を控えていましたら、
肉や魚など、
いわゆる酒の肴が
あまり欲しくなくなり、
牛乳、豆乳、果物類が美味しく感じられるようになりました。
桜木町駅では遠藤の青汁だし。
いたって植物系男子。
いや、
植物系中高年。
痛風発作の激痛に恐れをなした
ということもありますが、
それにしても、
これだけ止めていられるのですから、
もともと
そんなに酒が好きなわけではなかった
のかもしれません。
そんなに我慢しているわけでもないので。
なんて。

・高速道空より来たる枯葉かな  野衾

きょうより十二月

 

・柿紅葉絵筆取りたき日を過ごし

俳句をやっていると、
いろいろ効用がありまして。
歩くスピードが
前より遅くなりました。
きょろきょろ周りを見て歩くからです。
しばし立ち止まったりもします。
さて、
きょうから十二月。
師走。
むかしの人はうまいこと言います。
ふつうのひとが走るんじゃ
さほど面白くない。
ふだんは憮然、泰然、堂々としている先生まで
尻っぱしょりして走る
ってんですから、
面白いじゃありませんか。
目に浮かびます。
こないだ年賀状を書いたと思ったら、
もう目の前。
師も走るけど我も走る、
我走てか。

・牛乳を沸かして飲みたき冬の朝  野衾

中高年

 

・風邪なれば甘え桃缶所望せり

知人から連絡があり、
第二子がめでたく産まれたとのこと、
わたしと同じ誕生月。
わたしも早朝でした。
覚えてはいませんが、
母がそう言っていました。
あれから59年、
長かったような短かったような、
今ではすっかり中高年の仲間入りです。
例にたがわず、
古い友だちに会えば話題はもっぱら健康について。
とりたてて口にしなくても、
みなそれぞれ、
年相応にガタがきているようです。
きのうテレビをつけたら、
志村けんの番組に
加藤茶がめずらしくでていました。
さすがの掛け合いで、
茶さん嬉しそう、
でも、
昔の元気は望むべくもなく、
見ていてちょっとつらかった。
少年は老いやすいなぁ。

・柿とろり唇に着く甘さかな  野衾

寝るのが一番!

 

・冬の朝ここまで汽笛ふたつみつ

肩こり、首こり、頭痛、めまい、吐き気、
でフラフラしましたが、
一日横になり
ひたすら眠っていましたら、
気持ちの悪い痛みやふらつきは収まりました。
ノドの痛みから始まる
いつもの風邪の症状とちがいましたが、
これも別種の風邪なのでしょう。
よく言われることですが、
風邪だと思ったら、
まず寝て休むのが一番のようです。
年も押し詰まってきて
疲れのたまる季節、
みなさまどうぞお体お大事に!

・雨ざらし冬枯れ黒き駐車場  野衾

マスカット

 

・黄葉(もみじ)していよよ凄(すさ)まじ空の青

風邪なのかなんなのか、
たぶん風邪だと思いますが、
体調がすぐれず、
たのしみにしていた新作オペラも聴きに行けず、
一日横になっておりました。
食欲もなく、
何も食べたくなかったのですが、
駅近くのスーパーで売っていたマスカットが目に浮かび、
家人に頼んで買ってきてもらい、
晩ごはんはマスカット。

・冬の朝ながく尾をひく汽笛かな  野衾

ビール替わり

 

・ぼた雪や見えぬ螺旋に従ひぬ

右ひざの痛みは全くなくなりましたが、
大事をとって
しばらくビールはお預け。
しかしそうなると飲みたい欲求がふつふつと。
ビールの何がいいと言って、
味もさることながら、
一口目のあの
ノドごし、
ゴクッ…、ゴクッ…、ゴクッ…、クハーッ!!
ゴクッとやり、
つぎのゴクッまでの間が
至福でありまして。
それに代わるものはと探したら、
ありました。
そう、炭酸水。
けっこうな、
いや相当な刺激、
ビールを飲むときのあの感じに近く。
いま気に入っているのが、
ウィルキンソンの炭酸レモン水。
けして強がりでなく、
しばらくはビール無くてよさそう。

・気がかりのひとつありけり冬木立  野衾

著者恚る!

 

・凩や烏を墜とす布(きれ)のごと

まえに紹介した阿部筲人(あべ・しょうじん)
『俳句 四合目からの出発』(講談社学術文庫)
ですが、
こんなのはダメだと阿部さんが考える句が
ふんだんに取り上げられており、
なるほどなるほどで
たいへん参考になります。
わたしの句も
阿部さんに見せたら木端微塵でしょう。
ところで阿部さん、
ダメ句を紹介しているうちに、
だんだん興奮してきて、
ついに恚りまくった。

「【恋愛俳句】明らかに戦後の現象では、
大っぴらに「愛だ・恋だ」とやることです。だがこの点、戦後派はだめです。
サッカリン的観念語で、ゴム風船ほどの内容もありません。
これを聞いて読者の胸が波立つとしたら、何ともいえない浅薄現象です。
近来の歌謡曲の、さかりのついた犬猫のごとき現象に、
俳句作家が毒されてはなりません。

○水仙にある「純愛」よアイシャドウ

何ですか、これは。言葉だけを知っている痴呆俳句です。
アイシャドウを施した化猫(ばけねこ)のような純愛がありますか」

アハハハ…
阿部さん、そうとう恚っている。
書き言葉から話し言葉になってるもん。
痴呆俳句って。
本人が真剣なればこそ、
読んでるこっちは笑えます。

・凩や黒き雲裂き光来る  野衾