伝記のおもしろさ

 

『カザノヴァ回想録』につづきましてハインリヒ・モルフの『ペスタロッチー伝』。
伝記を読んでいると、
生きた時代、土地によって、そこに産み落とされた人が、
その後、どんな人生を送ったのか、
ついつい、
じぶんの人生とひき比べて、
共感をおぼえたり、反発を感じたりしながら、
ページを繰ることになります。
若いときは、
若いときの読み方があると思いますが、
年をかさねてからの読書は、
とくに伝記のたぐいを読むことは、
若いときの読書とはおのずから違ってくるようです。
おそらく死が近づいたことが大きい
のかもしれません。
きっとそうでしょう。
もうひとつ、
伝記を読んでいてこのごろ気になり、
おもしろく読むのは、
幼少期から少年期、青年期
のころの、
いわば、
その人が、功成り名遂げるまえの、
生活記録。
裏づけることは難しいかもしれないけれど、
こころに深く根を下ろしていくのは、
その時期かと、
これまたじぶんの人生とひき比べながら、
いろいろ読んでいるうちに、
感じ、考えるようになりました。
たとえば、
「近世哲学の祖」とかいわれるデカルトさん
ですが、
『省察』のような難しい書物を書いたデカルトさん
が、
その後の哲学、
また世界観に多大な影響力を持ったデカルトさん
が、
イエズス会の学校で学んだ(8年間)、
なんていうのは、
デカルトさんの伝記的事実や
デカルトさんの書いたものと合わせ考えると、
おもしろいなあ、
いろいろ想像しちゃうなあ、
って思います。

 

・急停止ペダルの先の雉子かな  野衾