生き物たちの棲むところ

 

コロナ前は割と頻繁に会っていた友人、知人と会えなくなって
けっこう時間がたちました。
この時期、
そのさびしさを、
まるで慰めてくれるように多くの生き物たちが現れます。
ここが山の上ということもあるでしょう。
筆頭は、
なんといってもタヌキ。
秋田にいた頃だって、
野生のタヌキを見ることは、そうそうなかった
のに、
この都会の真ん中でしょっちゅうタヌキに会えるなんて思いませんでした。
大きな尻尾の縞々の模様、
すぼまった口元、
ベランダを通っていくだけでなく、
この頃は外でも会うことがあります。
会えば、
「あっ! たぬき!」
とつい声が出てしまい、
すると、
ふり向いてこちらに挨拶をし藪の中へと姿を消す。
きのうはゆっさゆっさ、
アオサギが、
東の空から西へと飛んでいきました。
対抗するかのように、
西からカラスが東の空へ。
かと思えば、
メスのカブトムシが窓越しに飛んできた。
いつもの台湾栗鼠は姿は見えず声だけ。
さらにクモ、ハチ、トカゲ。
またカマキリ。
以前、
ムカデもけっこう現れて、
夜中に首の辺りがワサワサしてバッと手で払いのけたら、
それがムカデ、
ということが何度かあったっけ。
この生き物たちが、
ニンゲンの言葉はしゃべらないけれど、
存在そのものでよく慰めてくれます。

 

・鮨よりも青き風よぶ夏料理  野衾