『レイ・ブライアント・トリオ』

 

1960年代の長崎を舞台にした小玉ユキさん描くところの『坂道のアポロン』
が素晴らしく、
また、
だいじなポイントポイントで、
ジャズがうまくフィーチャーされており、
ジャズが好きなわたしとしては、その点でもうれしくなりましたが、
『坂道のアポロン』をきっかけに、
このごろ馴染みのアルバムを出しては、
よく聴いています。
レイ・ブライアントの名前を冠したこのアルバムは、
1957年4月5日に録音されたもので、
わたしが生まれた年にあたっています。
生まれたのは11月、まだ母の胎のなかですが。
いまはCDで持っているこのアルバム、
かつてLPレコードでも聴いていました。
これを聴いていると、いつでも、ふわり優しく包まれるような気がします。
1曲目の「ゴールデン・イアリングス」は、
もとはペギー・リーのヒット曲だったそうで、
マレーネ・ディートリッヒ主演の同名映画の主題曲
としても知られているとのこと。
ライナーノーツを書いている久保田高司さんは、
この曲ついて、
「ジョン・ルイス的エレガンスと、
彼独自の左右両手の絶妙なバランスによって見事にジャズ化している。
そこにはあたかも貴婦人の耳に揺れる黄金の耳飾りの如き風情さえある」
と評しています。

 

・奥入瀬や弾けて水の霧深し  野衾