『竹光侍』

 

会社が22期に入りまして、
これを機に、
社内に置いてあるじぶんの本を少し片付けていましたら、
松本大洋の『竹光侍』が出てきました。
主人公の瀬能宗一郎(せのう そういちろう)は、
天才的な刀の使い手でありますが、
おのれの中に棲む鬼を封じ込めるために、
真剣を質に入れ、
ふだんは竹光を持ち歩いています。
一巻目を読みはじめて間もなく、
生きて蠢くものたちをとことん凝視し、
その生態の核心をつかむことに異様に集中する瀬能が、
蝶になって宙を飛ぶ姿に呆れ、唖然とし、
これは傑作!
と感じました。
なぜそう感じたかといえば、
この物語は、
主人公についてもそうですが、人間の無意識に光を当てている、
と思われたからです。
無意識は、
意識できないから無意識ですが、
東洋へ来れば、阿頼耶識とよばれたり、
日本ではそれを「鬼」とよんだりするのでしょう。
画がまたすごい!
絵師・松本大洋の面目躍如。
原作は永福一成。
マンガが先にあって、小説が後のようです。

 

・日照雨(そばへ)して秋の光を湛へたり  野衾