お盆の味

 

・玄関へ何を知らすかアブラゼミ

正月ももちろん楽しみですが、
お盆を待つこころはまた格別です。
待つことの味わいは、
お盆を待つことでおぼえた気もするぐらい。
お盆になると、
昔ほどではありませんが、
今も、
親戚のものが集まり、
いっしょに車で出かけ墓参りをします。
三々五々集まってくる人びとと目礼を交わし。
ご先祖様が主役なので、
度を越して語り合うことはありません。
みんなみんな歳とって、
かと思えば、
少年少女はだれがだれなのか、
さっぱりわかりません。
犬を連れてくる人もいたり。
犬もいたって大人しく。
その物言わぬ風景、お盆の味です。
墓地の近くの同級生の家。
お母さんは元気かな?
梅雨が明け、
暑さはいよいよ本格的になりますが、
仕事をしていても、
本を読んでいても、
食事をしていても、
人に会っていても、
こころはいつになく
風通しがよく、
お盆を迎える静かな祝祭の時に入っていくようです。

・塩連れて大水垂るる酷暑かな  野衾