生き物

 

・晶晶と玄なる淵の蜥蜴かな

野生の生き物がいるとわくわく。
朝、
出掛けにバッタを見ました。
茶色いバッタ。
幸先がいいぞ。
虎猫はいつものように、
しどけない恰好で寝そべっています。
朝からむっつり。
そんな顔で見るなよ少しは笑ってくれよ。
蝉しぐれが降ってきますから、
その辺に
いっぱいいるのでしょうけれど、
声のみ浴びて坂を下りることにします。
蝉の声ならだいじょうぶ。
いくら大きくても、
五月蝿いと感じません。
わたしが初めて蝉の声を聴いたのは、
昭和三十三年夏。
なぜなら、
わたしは昭和三十二年十一月生まれだから。
記憶はしていませんが、
これだけ大きな声を発するのですから、
意味でなく、
体の奥の奥のほうに
深く刻まれたのではないかと思われます。
そのせいかどうか分かりませんが、
公園の横を通るとき、
神社や寺の境内を散歩しているとき、
公民館を掃除しているおじさんを見かけたときに、
蝉の声が聞こえてくると、
慣れた風景でもちがって見え、
とても懐かしい気がします。
沁みてきます。
しずかさが極まります。
さてそれから。
桜木町本町小学校横の階段で、
玄なる蜥蜴を見ました。

橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の二十四回目が掲載されました。
コチラです。

・蟹なれば目と目が離れ過ぎてをり  野衾