あと二回

 

・女子大の娘らの可愛く見えにけり

埼玉県新座市にある
十文字大学女子大学での講義も
のこすところあと二回になりました。
学長じきじきの依頼だったこともあり、
これも一つのご縁と、
ありがたく謹んでお引き受けしましたが、
始まってみると、
もちろん勉強になるし、
やりがいもあるのですが、
事前準備がけっこう大変でした。
詩人、写真家、絵本作家、映画監督、漫画家、書店員など、
ゲストを招いての対談形式の回もあり、
仕事を引き受けたときは、
ことばは悪いですが、
ここでいささか手を抜けるな、
なんて不届き千万なことを
思わないではなかった。
いやはや
とんでもないことでした。
少なくとも、
わたし独りで講義をするときの
三倍は労力を費やします。
うまくいっているかはひとまず措いても、
ゲストの方のどこに何に光をあて
どんな話をしていただき、
学生たちにぶつけるか。
そこで
新たな出会いが起こるようにしなければなりません。
そのためには、
ゲストの方の持ち味をわたしが
多少なりとも知っていなければならない。
個人的にいくら存じ上げていても、
講義でその方の持ち味が
目に見える形で現れるためには、
それなりの演出が必要になります。
事前の打ち合わせのため、
各所に足を運びました。
ゲストの方の著作、
また関係の書籍をこの間、
何十冊も読みました。
そのことがまたとても勉強になりありがたかった。
ということで、
結局、
大変だったけれども、
疲れて
火曜日の横須賀線の車中は
ぼろ雑巾のようになり、
口があわあわとなりもするけれども、
面白さ、
やりがいの大きさもまた
格別なものがあるのでした。
あと二回、
こころおきなく、
フルスロットルで臨もうと思います。

・洟垂らし五十過ぎたら師と称ばる  野衾