恩師・中条省平先生

 

・学習院守本奈美ちゃんでたところ

十文字学園女子大学冠(かんむり)講座の
来週のゲストは、
学習院大学文学部
フランス文学科教授の
中条省平さんにお願いしてありますので、
事前の打ち合わせに、
目白の学習院大学まで
とっとこ行ってまいりました。
中条先生とのご縁は、
いまから二十一年前。
いまもあるCWS(クリエイティヴ・ライティング・スクール)
すなわち創作学校の一期生として
渋谷に足を運んだときでした。
毎週二回の講義は、
楽しくもきびしいもので、
しょっちゅう原稿用紙十枚ほどの
短編小説を書いて提出しなければならず、
夏休みともなると、
長編を書くことを課されたり、
小説を書いたことのない人間にとっては、
まさに地獄の苦しみ。
髪型からして怒髪天をつく気迫の安原顯さんに対して、
もう一人の定期講師である中条先生は、
実に紳士的で物静かなお人柄に思えたものです。
著名な作家たちの有名な小説の、
どこが技術的に優れているかを解説してくださり、
だけでなく、
提出した、おそらく小説にもなっていないであろう
にわか小説に、
それでも懇切丁寧に、
ここをこうすればもっとよくなると、
わかりやすく優しく手ほどきしてくださいました。
物を書くときの技術を、
わたしは中条省平先生から教わりました。
その恩師と壇上に立ち、
学生の前で話しする機会がめぐってこようとは、
夢にも思いませんでした。
人生は不思議です。

・学習院サンダル履きの男あり  野衾