カニ汁

 

・炎天を避けて地下街もぐりけり

毎週木曜日は気功教室。
きのうがその日。
始まる前に、
よく行く回転鮨屋で幾皿か重ね、
それから教室へ向かうのがならい。
汁は三種類ありますが、
カニが好きなわたしは、
ほぼ百パーセントにちかくカニ汁を所望します。
きのうもそうしました。
しばらくして、
若い女子の店員が
カニ汁をお盆に載せこちらにやってきたので、
ああ、わたしのだな
と思って待ち受けていたら、
途中で立ち止まり、
年のいった店員となにやら話し込んで、
カニ汁を二人で覗き込んでいます。
ん!?
なにか変なものでも浮いているのか?
色が悪いとか?
カニが新鮮でないのだろうか?
ほんの数秒だったと思いますが、
想像をふくらますには充分。
間もなく、
カニ汁が運ばれてきました。
なになに、どれ。
見てすぐに納得しました。
汁の量が極端に少ない!
おそらく
若い女子はそれを気にして
年配の店員に声をかけたのでしょう。
年のいった店員は、
「だいじょうぶじゃないの」
とかなんとか言ったのではなかったでしょうか。
わたしは一瞬、
意地悪い気持ちがもたげそうになりましたが、
行動に移すことは止めにして、
お椀に口をつけました。
とっても美味しく、
カニの身も白く新鮮でした。
目の前に重ねられた皿の枚数がいつもに比べ、
二枚ほど少なかったのは、
カニ汁のせいではなく、
このごろ積極的に
少なく食べることを心がけていたからでしょう。

・駆け上り間一髪乗車せり  野衾