無人電車

 

 行く年の悲喜の算盤弾きたり

昨日、午後六時過ぎに会社を出、
てくてくと坂を下り、
桜木町駅に着いたのが六時半ごろ。
スイカをパン!
改札を通りよたよた階段を上っていたら、
ジリリリとベルが鳴って
四番線ホームからちょうど電車が出たところでした。
急ぐ道でなし、
四番線が駄目なら三番線と、
停車している八王子行きの電車に足を踏み入れたら、
すっからかんとだ~れもいません。
下の通り。
ね。
田舎の電車ならいざ知らず、
大都会横浜を走る電車とはとても思えません。
シートに横になろうと一瞬思いましたが、
不審者に見られてもなんですから、
それはさすがに止めました。
さて、
弊社は今日が仕事納め。
仕事始めは一月十日。
どちら様もどうぞ良いお年をお迎えください。

 髪無くば髭で寒さを凌ぎたり

仕事納め

 

 年の瀬や取り残されし心地せり

きのうが仕事納めの職場が多かったのではないでしょうか。
が、われわれ、
明日三十日まで仕事します。
凄い!(それほどでも)
十二期目の我が社は、
過去最高の売り上げを達成しましたが、
社員がそれぞれの場所で工夫し、
自発したことが原因であると見ています。
意識よりも無意識、
計算よりも欲情をふくらし粉にして、
来る年も楽しんで仕事をしたい。
そのためのギアチェンジ、
シフトチェンジの時機に差し掛かったようです。

 禿頭ら御用納めの怪気炎

朝のコーヒー

 

 思考まで堂々巡りの寒さかな

腰に毛布を巻いてこの日記を書き終えたら、
まず朝風呂に入ります。
それから薬缶でお湯を沸かし、
ミルでコーヒー豆を挽きます。
ガリガリ挽いていると、
ピョンと豆のかけらが飛び出したりしていましたが、
弟から教わった、
ティッシュに穴を開け蓋をする方式に変えてから、
豆が飛び出さなくなりました。
サイフォンにフィルターをセットするころ、
お湯もチンチン鳴り出します。
アルコールランプをセットし、ライターでシュッ!
熱せられたお湯がコーヒー粉を持ち上げます。
竹箆でゆっくり左に二回、
右に三回かき回し、
ケータイのストップウォッチを作動させ、
待つこと一分十秒。
ランプをずらしすばやく蓋をします。
透き通ったコーヒーがぽとぽととフラスコに落ちてきます。
いい香りが部屋に充ち。
外はまだ薄暗く。
ジョゼフ・コーネルの伝記を手に取り、
淹れたてのコーヒーをすすります。
ということを、
これからする予定。

 ホッカイロしていたことを忘れをり

乱歩みらいの横浜の時

 

 歯科医にて女子に歯磨き指導さる

年末、立て続けに三冊の本を出しました。
ほかも出しましたが、
学術書の多い弊社としては三冊とも珍しく一般書です。
『乱歩彷徨』『みらいのゆくすえ』
『横浜の時を旅する ホテル ニューグランドの魔法』
おかげさまで、どれも評判がよく、
営業のOさんは、
横浜の本屋さんの認知度が急に高まり、
訪ねていったときの反応が全然ちがうと喜んでいます。
さて、来年。
この魔法がとけないうちに、
みらいを見すえ、
遊びごころを大切にしながら彷徨を続けていく所存。
おもしろくなってきました。

 腰に当ていざ出陣のホッカイロ

最終週

 

 お歳暮のれんこんの文字笑ひけり

いよいよ最終週です。
弊社は三十日までの営業となります。
年賀状書きが待っています。
来年は辰年、
気合いを入れて書かなければなりません。
ひとついいのは、
2012年は平成二十四年であること。
十二の倍は二十四、
覚えやすい。
ところで、
近頃マンションの上階に越してきた人と知り合いになりました。
聞けば、北海道は松前のご出身。
松前といえば松前漬けでしょう。
小料理千成でたまたまご一緒することがあり、
カウンターに並びしばし昔話に打ち興じ、
「魚、好きですか?」
「ええ。わたしは肉より魚派です」
「そうですか。では、釣った魚、もらってくれますか?」
「ええ。なんぼでも持ってきてください」
というわけで、さっそく鯖を二匹頂戴しました。
昨夕醤油で煮ていただきました。
美味かった~!! ごちそうさまでした。

 毛布巻き本を片手の胡坐かな

今日は気功教室

 

 一年も残り十日の寒さかな

十回1クールの気功教室ですが、
今回は、
いろいろ夜のイベントとも重なり、
三回ほど休んでしまいました。
今年は今日が最後ですから、
一年を締めくくる意味でもしっかり
背骨を揺らしてこようと思います。
なんといってもこの気功、
「背骨ゆらゆら健康法」ですから。
教室に五年通っていますが、
メンバーが入れ替り立ち代りして、
いつの間にかわたしが最古参になりました。
継続は力なりと申しますから、
人は人、わたしはわたしで粛々と続けて参る覚悟でございます、
って、
なんだか政治家のあいさつのようでありますが。

 息白し遥かの富士の白きかな

今日はツブヤ大学

 

 歌えない歌を残して寒雀

山崎洋子さんの
『横浜の時を旅する ホテル ニューグランドの魔法』
が売れに売れ、
社内対応に大わらわ。
嬉しい悲鳴が飛び交っています。
横浜で始めた出版社として、
横浜に因む本を出したいものと願ってきましたが、
十三年目にしてようやくその願いが叶いました。
山崎さんは京都のご出身。
作家・脚本家として夙に有名ですが、
中学の修学旅行のときに横浜を訪れ、
いつかここに戻って(!)来ようと思われたそうです。
深く横浜と出遭われたのでしょう。
今日はその山崎さんをゲストにお招きし、
横浜との出遭いから『横浜の時を旅する』の魅力について、
いろいろお話を伺います。
午後八時から。
場所は、さくらWORKS<関内>(横浜市中区相生町3)
JR京浜東北線関内駅から徒歩五分ほどのところにあります。
詳しくは、こちらをご覧ください。

 蒲団恋ひ途切れ途切れの眠りかな