困ってるひと

 

 億千の無音の音や冬の朝

元社員で、
今は独立して編集者・装丁家の道を歩んでいる
長田年伸さんから薦められ、
さっそくアマゾンで購入。
大野更紗『困ってるひと』(ポプラ社、税込1470円)
先週金曜日に届き、
箱を開けて本を取り出していたら、
営業の大木さんがそれを見、
「あ。その本わたしも読みました」
「そう。おもしろかった?」
「はい。おもしろかったです」
というわけで、
きのうさっそく読み始めました。
我らが中島岳志さんも朝日新聞で書評していたではありませんか。
(忘れとりました。ゴメンナサイ!)
原因不明の難病を発症し、
考えられない痛みと苦しみに苛まれながら、
陰陰滅滅に陥らず、
自身の置かれた状況をクリアに把握し、
読者サービスを忘れることなく面白く読ませるという、
アクロバット的な書きっぷりにまず驚きます。
天晴れ! です。
それにしても、
この難病の壮絶なること想像を絶します。
細胞検査のため、
麻酔なしで手術し筋肉を抉り取るって、
そんな手術あるの?
痛そうで考えられません。
つくづく頭のいい人なんだろうなあと思いました。
文章について自己規制がきびしく、
深刻になりそうになると自らツッコミを入れ、
けっして酔わず、溺れず、歌わず、
スマートに軽快にバランスをとっていきます。
つい先を読みたくなります。
応援したくなります。
痛みと苦痛の入院先で、思わぬ出会いもあります。
二二三ページ、ウッと泣きそうになりました。
家人がいなければ間違いなく泣いていたでしょう。
壮絶な闘病記なのに、笑いあり感動の涙あり。
そして教えられることいっぱいの、
すばらしい本でした。

 雪積もり雪積もりして青さかな