憑き物

 

 寝床にて雪の音きく帰郷かな

九年越しの原稿を手放したら、
憑き物が落ちたように体がスーッと軽くなり、
なんだこれはー! と我ながら驚いたりはしゃいだり。
隙間時間を見つけて読み返しながら、
納得できず考えあぐね、
書き直し書き直ししてきた原稿から、
ようやく解放されました。
数日、体調がすこぶる宜しい。
師匠である故・安原顯さんと出会ったころから、
文字を書こうとするといつも引かれていく場所。
そこを超えられず無駄に時を費やしてきた気もします。
無駄でなかった気もします。
そのときどきに一所懸命、
まただらしなく、
不貞寝したりしてやり過ごしてきた時が我が身を離さず、
後から後から随いてきて、
落とし前を求めてくる。
逃げるわけにもいきません。
書くことで考え、
推敲することで確認することがいくつかありました。
これで、いい正月が迎えられそうです。
なんちゃって(古)

 ふるさとでラーメンを待つ友の顔