鬼?

 

 物言はぬ時を楽しむ月夜かな

社内模様替えに合わせ、
机の中、周りを順に片付けています。
手紙は手紙で箱にまとめてあるのですが、
いい機会ですから、
古いものから読み直し、
これからの仕事に直接関係ないものは、
心を鬼にして捨てることにしました。
とは言うものの、
たとえば、
秋田出身の教育者、児童文学者である
故・滑川道夫先生からいただいたお手紙など、
どうしても捨てることができません。
前の出版社にいたとき、
社長に連れられご自宅を訪問した際、
新井奥邃の名を口にするや、
先生、ぐっと身を乗り出し、
奥邃の高弟である大山幸太郎について
縷々教えてくださいました。
わたしの口から奥邃の名が出たことに
驚かれているご様子でした。
それが縁で後日、
滑川先生を奥邃の墓にお連れしました。
お手紙は墓参のお礼と、
そのとき先生が写した写真が添えられています。
鬼の心になっても、
それを捨てる理由が見つかりませんでした。
さて、
写真集『クジラ解体』の書評が東京新聞に掲載されました。
コレです。
高価な本なので、
個人ではなかなか手が出ませんが、
このところ、図書館からの注文が続いており、
どこまで続くか楽しみなところです。

写真は、りなちゃん提供。

 ジョバンニの時空に揺れる芒かな