Archives : 10月, 2011

写真展

 

 皮を剥きビー玉色の葡萄かな

「橋本照嵩(しょうこう)と石巻のこどもたち青空写真展」
に行ってきました。
写真家の橋本さんは、
一九九六年からふるさと石巻で子どもたちと撮影会をしてきましたが、
今度の震災で教え子八名の命が奪われました。
子どもたちの写真は、
震災とは関係ありませんが、
震災を経た今の目で見直せば、
おのずと違った意味がにじみ出てくるようです。
下に掲載した写真を見ながら、
わたしは、
「春風目録新聞」第九号に寄稿していただいた佐々木幹郎さんの
「はたはたと」の詩を思い出していました。
最後の連の、
「いま 牡蠣殻を踏みつぶしながら
近づき つかむ 高きにあるもの
「はたはた はたはた」と」を。

 ふるさとの池にたわわの葡萄かな

泉鏡花記念市民文学賞

 

今年三月に刊行した安田速正(やすだ・そくしょう)さんの
長塚節 『土』―鈴木大拙から読む』が、
泉鏡花記念市民文学賞を受賞しました。
講評は以下のとおり。
掲載紙にそれぞれリンクを張っておきます。

北國新聞
北陸中日新聞
朝日新聞

〔講評〕
安田速正著 『長塚節『土』―鈴木大拙から読む』(春風社)

本書は、長塚節の代表作『土』を鈴木大拙の宗教的概念「日本的霊性」によって読み解き、新たな『土』論を展開した優れた評論である。また、本書の魅力は、著者の鈴木大拙理解とでもいうべきものを、長塚節の『土』において検証したところにある。
小説『土』は、貧窮にあえぐ小作人勘次一家の暮らしを、四季や風俗とともに綴り、終局において勘次が対立していた養父に心を開く曲折を描く。
夏目漱石は、『土』に登場する貧農たちを「蛆【うじ】同様に憐れなる百姓」と言ったが、著者はこの見方に納得せず、鈴木大拙の理論を借りて考究する。それは、「日本的霊性」に基づくもので、その特質を大地性・否定性・霊性的直覚の三点に集約し、霊性を「現実に人を動かす力」と解する。この視点から『土』を読むと、随処に霊性が現れ、複雑で暗いと言われる作品に光が射し、農民は神神【こうごう】しく光って見えるという。
著者は、金沢の大地を耕し、同時に文学を愛し、短歌を作り、とりわけ長塚節の人と文学に傾倒する農家のあるじである。著者は言う。『土』を一枚の織物とすると、その現実描写は横糸であり、生と死の問題、宗教問題、霊性的体験の問題は縦糸であると。本書は、まさに縦糸の宗教的、哲学的問題を重視し、『土』の内面に鋭く切り込み、論述している。
『土』発刊から百年、暖衣飽食の時代にあって長塚節の作品の再評価と、その人の宗教性に着目した意義は大きい。永年の思索と調査に加えて、熱情溢れる姿勢が印象的である。金沢市民文学賞に推薦するものである。

水母

 

 闇よりの頭巾の使者が駆け抜ける

宿の二階から見える川を
水母が流れていった
川に水母は妙だけれど
水母が流れていった
おおきな水母が隙間なく
どんどん どんどん
流れていく
部屋の横にしつらえた水路にも
水母
友人がなげいてみせて
ひょいと一匹つまみあげた
いやいやをするように
透き通ったからだを震わせ
あかく嗤って
こときれた
ケータイの音は
鳴り止まぬ

 夕間暮れおいでおいでの薄かな

青空写真展

 

 秋深し破れ雑巾やっと立ち

写真家・橋本照嵩さんの
「橋本照嵩と石巻のこどもたち青空写真展」が始まった。
おととい、
東京新聞に写真入りで大きく掲載されました。
コレです。
橋本さんは、
一九九六年からふるさと石巻で子どもたちと撮影会を行い、
その都度、写真展を開催してきました。
子どもたちのうち、
八人が今回の震災で亡くなったという。
すべてのことが瞬時に流れ、
何もかも、
まるで無かったごとくにあっけらかんと
忘れ去られていく風潮の中で、
しぶとく継続することの意味と力を、
橋本さんの写真から学びたいと思っています。

 だまっこの味が恋しい週の暮れ

ツブヤ大学

 

 ユーストの意味も分からず出てみたり

つぶやく→ツブヤ区→ツブヤ大学。
こういう関連のようですが、
このNPO法人ツブヤ大学の公開講座「本をつくる仕事とは?
に出演して参りました。
ヨコハマ経済新聞編集長の杉浦裕樹さんをお相手に、
本づくりについて日々思うところをあれこれトーク。
が、
始まる前に、
会社で重要な打ち合わせが四時間ほどあり、
そのことで頭がバンバンに膨れ上がり、
切り替えに難渋。
ツブヤ大学代表の望月さんが、
最初にしては上々と喜んでおられましたから、
まずは一安心。
次回からは、
ちゃんと事前準備をして臨みたいと思います。

 蟹くんが朝の運動天高し

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。