書評ありがたし!

 

 疲れ果て宙ぶらりんの冬の空

装丁家の桂川潤さんが『父のふるさと 秋田往来』を
ご自身のブログで書評してくださいました。
『父のふるさと~』に序詩を書いてくださった
佐々木幹郎さんから教えていただきました。
さっそくチェック。再読、三読。
心をこめてつくり送り出した本について、
深く意を汲んでくださり、
ありがたいの一言です。
さっそく桂川さんに電話し、お礼を述べ、
しばらく活字や装丁について話をしました。
桂川さんには『本は物である 装丁という仕事
という近著がありますが、
本づくりに携わる者、本を内容とあわせ慈しむ人を
深く励ましてくれる、実に美しい本です。
手に取るたび、がんばろうという気になります。
ありがとうございました。

 絵文字にて秋田吹雪とメールあり

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冬は小数点

 

 千成や忘年会の鍋つつく

10、9、8、7、……
寒くなると、ふとんが恋しく、
朝、起きるのが億劫(おっくう)になります。
あと10数えたら起きようと決心し、
10、9、8と、ゆっくりゆっくり数えても、
残酷にもやがて0がやってきて、
起きる羽目になってしまいます。
ところが。
小数点という画期的なものを学校で習い、
朝の風景ががらりと変ります。
始まりは同じ。
10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、
むふふふふ。
つぎに0が来ると起きなければなりませんが、
小数点を習うことによって、
3、2、1、0.9、0.8、0.7、……
あはははは。画期的!
0.3、0.2、0.1、やばい! 0が来るー!!
だいじょうぶ!
0.09、0.08、0.07、……
限りなく0に近づきますが、
永久に0は来ません。
0.01が来たら、また0.009とやればいいんですから。
と。
「いづまで寝でるの! はえぐ起ぎれ!」
0は来ませんが、
母の声が飛んできます。

 忘年会空中ブランコ忘年会

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ラジオ取材

 

 赤羽や停留所に落つ冬の雨

秋田放送ラジオ制作部のディレクター
利部(かがぶ)さんとJR赤羽駅で待ち合わせ、
そこから板橋にある内外文字印刷さんへ。
利部さんは、
今月五日に掲載された秋田魁新報の記事を読み、
拙著『父のふるさと秋田往来』と活版印刷を
放送で取り上げたいとのことで、
取材してくださいました。
内外文字印刷の小林社長へのインタビューから始まり、
活版印刷機、活字鋳造機の音の収録、
わたしへのインタビューと利部さんお一人でこなし、
終ったのは夕方五時を回っていました。
雨を避けバスを待つ間、
映像化の話まで出て、嬉しいやら驚くやら。
決まった話ではありませんが、
そういうアイディアまで思い浮かべ、
考えてくださったことをありがたく思いました。
ラジオでの放送は、
今月二十三日と年明け一月五日予定だそうです。

 十二月秋田の人と語りけり

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夢の本

 

 ひかりなに心洗はる師走かな

拙著『父のふるさと 秋田往来』を読んでくださった方が、
「夢」の章ばかりでなく、
全部が夢のようだったと感想を話してくれました。
そう言われてみると、
わたし自身がそんな風に過去を思い出しますから、
書かれたものにもそのニュアンスが
映っているのかもしれません。
朝、夢から覚めると、
どうしてあんな夢を見たのかしらと、
不思議に思うことがありますが、
考えてみれば、
実際に過ごしてきた人生も、
どうしてあんなことをしたのか、
どうしてあんなことが起きたのか、
不思議に思うことしばしばです。
ほんとうに、
銀河鉄道の列車に乗っているようです。

 カラオケや我も飲んだり師走かな

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グランブルー

 

 魚積みひたすら逃げる冬の空

神奈川新聞よこはま版「自転車記者が行く」の
佐藤将人さんに、
イタリア料理のお店・グランブルーの
渡邊(わたなべ)さんのことを話したら、
ぜひ取材したいと言うので、
昨日、グランブルーに案内し、
渡邊さんの、映画になってもおかしくない
驚きの人生をインタビューしてもらいました。
「グレる暇などなかった」という言葉が印象的でした。
いろんな人生があるものです。

 横浜や政子の井戸の水寒し

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東北のオーラ

 

 冬休み近づくほどに頬ゆるみ

神奈川新聞よこはま版「自転車記者が行く」の記者
佐藤将人さん来社。
午前十一時から午後二時までの三時間、
春風社の創業から現在までを
びっしり取材してくださいました。
お目にかかって早々、
失礼ですがご出身はどちらですかと尋ねたら、
自分の生まれは厚木だが、両親は山形出身であると。
なるほど。
東北地方のオーラを感じたからです。
それから一時間ほどして、
秋田共同印刷の田代さんという方が
訪ねてきてくださいました。
初めてお目にかかりましたが、
同郷と思えば、
つい頬がゆるんでしまいました。

 冬の朝甘え烏の声ガーガー

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活版所

 

 カレンダー消して数える冬休み

ジョバンニはすぐ入口から三番目の高い卓子(テーブル)に座った人の所へ行っておじぎをしました。その人はしばらく棚をさがしてから、
「これだけ拾って行けるかね。」と云ひながら、一枚の紙切れを渡しました。ジョバンニはその人の卓子の足もとから一つの小さな平たい函(はこ)をとりだして向ふの電燈のたくさんついた、たてかけてある壁の隅(すみ)の所へしゃがみ込むと小さなピンセットでまるで粟粒(あはつぶ)ぐらゐの活字を次から次と拾ひはじめました。
(宮沢賢治「銀河鉄道の夜」より)

 Mの字で信号を待つ冬の朝

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