活版所

 

 カレンダー消して数える冬休み

ジョバンニはすぐ入口から三番目の高い卓子(テーブル)に座った人の所へ行っておじぎをしました。その人はしばらく棚をさがしてから、
「これだけ拾って行けるかね。」と云ひながら、一枚の紙切れを渡しました。ジョバンニはその人の卓子の足もとから一つの小さな平たい函(はこ)をとりだして向ふの電燈のたくさんついた、たてかけてある壁の隅(すみ)の所へしゃがみ込むと小さなピンセットでまるで粟粒(あはつぶ)ぐらゐの活字を次から次と拾ひはじめました。
(宮沢賢治「銀河鉄道の夜」より)

 Mの字で信号を待つ冬の朝

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